紫だらけ
まだ若かったころ、時々見かけた、割といい年齢のご婦人で全身紫の人。なにゆえ、あのように紫ばかり選ぶのだろう。と不思議に思っていました。
服や帽子だけでなく、バッグももちろんのこと、眼鏡はレンズも紫、時には白髪を紫に染めて。
おしゃれな感じで、よく似合ってた方もいましたけど。
紫を、なぜそこまで選択する?
だけど、最近、気づいてきたことがある。
黒がなんだか重たい、ってこと。
若い頃はね、迷ったら黒、というくらい、黒一択でも大丈夫でした。
黒にしておけば、それなりにおしゃれに見えるし、バッグや靴も合わせ易い。そして、何より汚れが目立たない。
安心だし、実用的。本当に便利な色でした。
でも、近頃、黒が重い。なんだか、黒を着るのに気合がいる。
歳をとって透明感を失い、シミやら黒子やらが増えて、厚みが出てきた肌の質感とか、皺とか白髪とか。
いろいろな加齢現象が、私に、黒を似合わなくしている。
と言って、もともと茶系は似合わないのです。
肌色のタイプで言うと、いわゆるブルーベースのウインター。白とか黒とかはっきりした色が似合う方。
灰色はますますくすんでしまうし、アラフィフ向けのファッション雑誌のグレーコーディネート特集のお勧めは、カシミヤとかレザーとか。高級な質感が大事、と言われてもお財布には無理がある。
紺色か青、は悪く無いけど、ちょっと顔色が悪く見えるみたい。もう少し、血色をよくしてくれる赤みが欲しい。
と、ここで遅ればせながら気がついた。
そうなんだ、青に赤みを足すと紫になるんだ、って。
だから、歳をとると紫を選びたくなるんだって。
聞くところによると、眼鏡のレンズに紫を入れると、肌のシミや皺が目立たなくなるそう。それに、紫には補色効果があって、色白に見せたい時には、少し紫の入ったお粉やコンシーラーを使うといいらしい。
実際、濃いめの紫のトップスを着ると、黒を身につけた時よりも、最近黄ばんできた肌の色が白く綺麗に見えます。
なるほど、それで、重くなってきた黒の代わりになってくれて、少しでもおしゃれに見える色、と選んで行くと、紫が増えていって、うっかりすると、全身紫のおばさんの誕生。となるわけです。
紫に罪があるわけではありません、安易に選んでしまう私が、悪いんです。
そしてある日、気がついたら、紫だらけのおかしなおばさん、になってしまうのです。何事も加減、と言うものが大事です。
だから、大事に使わないと、と思います。
顔まわりの一番使いたいところにポイントを絞って、他のアイテムはなるべく紫と相性の良い、紺色とかアイボリーを選ぶように。もちろん、時には重くならない程度に黒も使って。
歳をとってもおしゃれはしたいのです。