ひよっこ
今期のNHKの朝ドラ「ひよっこ」は茨城出身の女の子が主人公。
中学高校時代に、茨城県に住んでいたこともあって、懐かしく見ています。
と言っても、平日は仕事なので、土曜日の朝になんとなく眺めているだけなんですけど。
朝ドラは、週一しか見なくても、話の大筋が判るようになっていて、素晴らしい。
有村架純は可愛いですね。ドラマの役作りのために、あえて太って素朴な感じを出しているとか。すごい。
出てくる人も、”Always三丁目の夕日”並みに普通にいい人ばっかりで、あまり大きな事件が起こることもないらしい。なので、あんまりはらはらしないで、見られるのがまた良い。
休日の朝くらいは、まったり過ごしたいですし。
ただなぁ。茨城弁が、なぁ。
違うのですよ。私の記憶にある茨城弁と。
なんか、歯切れがよすぎる気がします。
もう少し、素朴で、ずるずるべったりした印象だった気がする。
でもって、濁音が多かった。
あまり口を開けずに、特徴のあるイントネーションで早口で話して、最後に「だっぺ」をつける。
これが私の覚えている茨城弁です。
まあ、40年近く前の記憶ですしね。あてにならないところもあります。
茨城の発音もいばら「ぎ」ではなくて、いばら「き」と発音するらしいのだけれど、そこ、強調しすぎじゃないかな。
実際は「いばらぎ」って聞こえますよ。やっぱり。
でなきゃ、「いばらに」。
PCの変換だって「いばらぎ」って打っても変換してくれるし。
多分、この場合の「ぎ」は普通の「ぎ」とはちょっと違うのだろうとは思う。
LとRの違いみたいに、分かる人には分かる違い。
でもね、ノンネイティブには、やっぱり、おんなじに聞こえるの。
一方で、私的にこれがTHE茨城弁の特徴だ、と思うのは「い」と「え」の発音に違いがないこと。
これ、なかなか信じてもらえないけど、本当なんですってば。
うちの近所のゴミ捨て場には、ちゃんと、「もいるゴミの日 月・木」って看板立ってましたもの。多分、表記的にも違いはないのだと思います。
昔々、母の知り合いに直江(なおえ)さんと言う人がいたのですが、小学校に入学した時、名札にひらがなで「なおい」って書いてあったので、お父さんがわざわざ、「うちの苗字はなおえ、なんです」って言いに行ったそうです。
そしたら、担任の先生は「はい、わかりました。なおえさんですね」って言ってくれて、でも、やっぱり名札は「なおい」のまま。
お父さんも、担任の先生も茨城ネイティブ。
「なおえなんです」「なおいさんですね」と、延々と同じ会話が繰り返されたそうです。
この話、文字に書くと、ツボがわからないのですが、茨城弁でやってもらうと、なかなか面白い。
「え」と「い」の発音がほとんど同じに聞こえるので。
でも、ドラマではそこ、あまり強調されてませんね。
ちなみに、茨城では「えとうさん」「いとうさん」も同じ発音です。
江戸も、井戸も同じ。
数え上げればきりがありません。
でも、別に困ってなさそうでしたね。会話の流れでわかるから、らしい。
ところで、生粋の茨城弁って、お年寄りが喋っているのを聞くと、音楽的で外国語を聞いているみたい。
昔、常磐線に乗っていたとある大学の偉い先生が、前方の席で、以前に旅行で立ち寄った東欧の国(どこの国だったかは忘れたので、お好きな国名をどうぞ)と思しき言葉で会話をしている乗客がいて、「日本も国際的になったなぁ」と感動していたら、行商のおばちゃんたちが茨城弁で喋っていた、という話を聞いたことがある。
そういえば、自動車のCMで仲里依紗が、フランス語に聞こえる津軽弁で喋っていてすごく可愛かったし、最近では宮崎県のPR動画で、フランス語に聞こえる西諸弁が話題になってましたっけ。
私も、こちらのネイティブのおばあちゃんたちが早口で会話すると、中国語にしか聞こえません。
でも、そういう方言のリズムって、いわゆる標準語に乗せると変なふうに崩れてしまう気がします。
特に茨城弁は、これが茨城弁、って言えるような言い回しがなくて、あの独特のイントネーションが、ある意味では特徴だったりして、さらに難しいのかな、と思います。
関西弁とか東北弁みたいに、ある程度その特徴を聞き慣れていると、違いがわかりやすいけれど、茨城弁って、微妙に標準語に近いところもあったりして、混ぜると個性が引き立たないのではないでしょうか。
演じている俳優さんたちは、本当に大変だと思います。
でも、もうちょっと、茨城弁色、出して欲しいな。
と、思っていたら、角谷三男くんが 、それはそれはいい感じに茨城弁をしゃべってました。
”い”と”え”が微妙に合わさった発音。だっぺの連発。
これですよ、これ。
私の覚えているネイティブ茨城弁。
ぜひ、もっと三男くんの出番を増やして欲しいなー、と個人的な要望です。