とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

孤独なバッタが群れるとき〜を読んで

「バッタを倒しにアフリカへ」の前作となる本です。
こちらは図書館にあったので、早速借り出して読んでみました。

「バッタを倒しに〜」はどちらかというと、アフリカでの苦労話を面白おかしく書いている感が強く、現地での人とのふれあいや、研究環境の(特にお金の面での)厳しさがメインでしたが、こちらは、実際の研究内容も盛り込まれています。

小学校高学年から中学生くらいの科学が好きな子に読ませたら、夢中になりそう。
ブログで鍛えただけあって、平易でわかりやすい文章。
小学校高学年なら、十分理解できそうです。

研究三昧の日々を送る、かなり真面目な内容なのですが、少年ジャンプの引用があったりと、それほど深刻な感じがない。
どことなく、ロールプレイングゲームをしているような感じもある。

実際の研究者って、きっとこんな感じなんだろうな。

大学院まで行って一向に就職の気配もないし、一体何してるんだろ、うちのプー太郎は。
なんて思っている親御さんが、読んでも良いかもしれません。

研究の内容が、また面白い。
バッタを飼育箱に入れて、餌を与えて、卵を集め、数を数えて、観察してと、実に地味。
なのに、面白い。
仮説を立てて、飼育条件を変えて、その結果に一喜一憂する。
その繰り返しなんだけど、それが知的興味を刺激してくれます。

著者の話を読むと、中学校の理科クラブあたりでも、出来そうな気がしてくるから不思議。
これを読んで、実際にやってみたくなる子、きっといるだろうな。

もちろん現実は、もっと緻密で難しいのでしょうけど。
なんだかすぐに出来そうな気がしてくるのは、著者の語り口が熱いからかもしれない。

前作「バッタを〜」でも触れられていましたが、こういう地味な研究は志す人も少ないし、研究のためのお金もなかなか出してくれるところがないらしい。

著者も、終わりの方で「半年後の収入のあてはない、でも、なんとかなると信じて研究を続けている」と書いています。

先週、お盆休みの頃にせっせと読んだ早期リタイア人の、妙に冷めた人生観や、快適さに重点を置いた生活と比べると、真逆の世界。
でも、好きなことが見つかったからと、これくらい突っ走れるのは、ある意味羨ましい。
文章には綴られていない、苦労や葛藤や悩みもきっとあるのだろうけど、そこは出さず、弱音も吐かず。

やっぱり、この人ちょっと中二病(いい意味で)。
ずっと少年、みたいな人なんだろうな、と思いました。

幾つになっても、胸躍らせる目標が欲しい、そんな人の参考になりそうな本でした。