とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

地元で就職した子供が勝ち組という話

あれは多分、お盆休みの話をしてた時のこと。
三十代男性職員さん。
若いけど、勤続年数は長くて仕事では上司も頼りにする大ベテラン。
子供は小学生を頭に三人の男の子。
別の職場ですが、奥さんも働いている共働き世帯です。

おしゃれにヒゲを生やしてて、髪は金色に近い茶髪。
いわゆる地元ヤンキーと呼ばれるタイプの人だと思います。

夏休みは子供を連れて実家に帰り、海に行ったり、キャンプに行ったり、充実した時間を過ごすそう。

実家といっても、鹿児島市内から一時間ほどの郊外です。
おじいちゃん、おばあちゃんもまだ60代なので、元気。
子供の世話もしてくれる。
近くだから頼みやすい。
将来は、親の土地に家を建てるか、二世帯にするのでその分の貯金はしなくて良い、だからそのお金で、家族で楽しむことにしているそうです。
ユニバーサルスタジオには何度か行ったけど、ディズニーランドは、まだ。
もう少し子供達が大きくなったら、家族旅行で行く予定だそう。

ちょっと意地悪して
「でも、子供さんが大学行くようになったら?結構お金かかるよ〜」
と言ってみました。

すると、
「何言ってるんすか?高卒で就職すっよ。当たり前でしょ。うちは公立の職業系の高校行かせますから。そんなに金はかけない予定です」
と即答されてしまった。

そうなんですね、もう学歴なんてそれほど大切、って思われてないのです。

せめて、大学は出て欲しい。
と、私たちの頃の男子なら言われた、と思うのです。
都会の良い大学に行って、都会で就職するのが勝ち組、だったと思う。
地元の大学を出ても、やっぱり卒業後は東京や大阪、福岡に出て行ったものです。

でも、今はせっかく大学出ても、
就職できなかったら?
倒産したら?
リストラされたら?
と、リスクがある。
地方には、半端に高学歴だとかえって仕事がない、という問題もある。

義姉のところの甥っ子達は、頑張って修士を取得し、一流企業に就職しました。
確かに収入なんか、すでに相方のおじさんよりも多くて、いわゆるエリートサラリーマンです。
でも今の会社にいる限り、鹿児島で暮らすことは、まずない。

そんなあれこれを考えると、学費や仕送りで無理して、親世代が老後になって経済的に困窮するよりも、むしろ割り切って手に職をつけさせるのは、現実的な教育方針かもしれません。

地元で堅実な仕事についてくれて、そんなに収入がなくても、近くに住んで、家族仲良く暮らせたほうが良い。
子供世代にとっても、子育てだって、親が近くに居てくれたらぐっと楽。
孫世代にとっても、両親以外にも家族がいるほうが、色々な意味で、豊かな人間関係や経験が体験できるでしょう。


以前、ネットで、

いまどきの勝ち組は、中途半端に勉強できて都会の大学行って帰ってこなくなる子供より、高卒で地元就職して、孫を抱かせてくれて介護してくれる子供がいる親。

という言葉を見たことがあります。
最近、本当にそうだよな、としみじみ思う。

先日読んだ、「下流老人」と「我らがパラダイス」の二冊。
どちらも、子供は老後のリスクの一つになってました。

曰く、引きこもりやニートになって、せっかく貯めてきた老後のための資金を食いつぶす。

曰く、年寄りを大切にするという風潮が廃れてしまって、面倒を見ようという子供に育ってくれない。

曰く、もし、いずれ親の介護をしたいという子供に育ってくれたとしても、親が介護が必要な年頃には、子供世代も忙しいか生活に追われていて、介護出来ない。

なんだか身も蓋もないような気もしましたが、実際、周りを見ると、そういう例を多々見ます。

我が家も、子虫達にはあまり期待できないし、しないほうが良いよな、と思ってる。

もちろん地元に住んでいるからと言って、子供世帯の生活が楽とは限らないけれど、少なくとも近くにいれば、何かあったらすぐに会えるし、状態も見に来れます。
他の家族、例えば孫の手を借りたりもできる。
小さい頃から、ちゃんと関わっていれば、孫だってなついてくれて、いざという時、祖父母の面倒も見てくれようというものです。

人生を始める、最初の頃で方向性を間違えてしまったかしら。
人生、なかなかうまくは行かないものです。