とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ〜を読んで

図書館でずっと予約待ちして、やっと手に入りました。もう待ちきれなくて、楽天でポイントアップキャンペーンのときに買ってしまうところだった。


新潮45』という月刊誌に連載されていたエッセイをまとめたもののようです。
エッセイなので、各章毎にまとまっていて、時間がないときでも読みやすい。
時間がないのに、つい、次の章、次の章と読んでしまう。
東大農学部卒の文章家といえば、星新一が有名ですが、この方の文章も読みやすくて面白かったです。
東大農学部おそるべし。

読んだ後で、日々の生活への取り組みが変わるというような自己啓発本ライフハック系の本とは、違って、シンプルに知識を楽しめます。

と言ってもその知識はほとんど、トリビアルな雑学で、おそらく日々の生活には、全然役立ちそうもありません。
そんなことを、やっている人がいる世界があるのだなぁと、思いつつ読む。
こういう生活も楽しそうだな、と思う。
もちろん、紙の上で気楽に読むなら一行で済んでしまうようなことに、血と汗と涙が滲んでいるわけですけど。

ところでこの方、確かに鳥類学者だけど、タイトルのごとく、それほど鳥が好きなわけではなさそうです。
むしろ、好きなのは”島”ではないか、と思う。
それは、前作の『そもそも島に進化あり』を読むと待つますう疑わしくなる。
この人、島好きが高じて、島の研究をするために便宜的に鳥類学者になったのではないのか知らん、という疑惑が、湧いてきます。

ともあれこの本では、著者のフィールドである小笠原諸島を中心に、研究者の過酷な調査生活が語られます。
インディジョーンズ・シリーズなどの映画やドラマでよく学術調査の過酷さが語られていますが、現実は更に厳しいらしい。
うちの軟弱子虫たちには、到底無理そうだな。

そんな、過酷な環境の中、鍛え抜かれた(実際に、研究所で仕事をしている間は、ボルダリングをしたり、通勤途中でマラソンしたりして鍛えるらしいです)マッチョな研究者たちが、新しい知見を求めて進みます。

そして、合間合間で閑話休題風に、様々な自然科学についての知識が語られます。
それが、またわかりやすくて面白い。
こんな面白い理科の先生がいたら、絶対、生物学専攻してたわーと思うくらい面白い。
こういう先生に出会いたかったよー、と年齢を見たら、もう私よりずっと年下でした。

言及されるたとえや例が、若干アニメ系(特にガンダムについての知見はかなり深い)に寄りガチなので、そちら方面の知識が皆無の人には、かえってわかりにくいかもしれないけど、好きな人にドスライクだと思う。
私は、後者でした。

図書館で借りるだけじゃなくて、印税に貢献するためにもやっぱり買っちゃおうかな。