蒸し暑い夏にぴったりの怖〜い短編集 ”チェーン・ピープル”
図書館で借りてきた本です。
六篇の短編から成っています。
何気ない日常風景、どこにでもいそうな人が描かれていますが、どこかがずれている。
というか、変。
でも、怖いのはその人物ではありません。
読み進んでいくと、少しずつその登場人物のずれ方や、在り様よりも、その人物を取り巻く社会というか、その人物に反応する世間の怖さが、じわじわと迫ってくる。
読み終わった後、そこはかとない怖さが、コーヒーカップの底に残ったコーヒー滓みたいに、心の内にこびりついている、そんな感じです。
表題作の”チェーン・ピープル”はそうでもないですが、最後の”応援”はマジに怖い。
背中がゾクゾクしてきます。
祟り物とか幽霊物の様な、ありきたりのホラー話に飽きた人。
ちょっと変わった怖い話を読みたい人、におすすめです。
でも、うっかり無防備に読んでしまって、怖くて外に出られなくなっても、知りませんよ。
後から、じわじわくる系の怖さです。
不条理な世界に翻弄される個人、というカテゴリーがあるとしたら、フランツ・カフカやP.K.ディック、ブライアン・エヴンソンなどと同じかな。
どの作者も好きなので、私にはツボ、でした。
他の作品も読んでみよう、と思います。