とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

グレイテスト・ショーマン 〜観てきました

子虫が『良かったよ〜( ´ ▽ ` )ノ』と勧めるので、相方のおじさんと一緒に観てきました。

いやあ、良かったなぁ。

音楽が良かったです。
ラ・ラ・ランドも良かったけど、こっちのがダンスナンバーが多くてノリノリの音楽で、踊りもキレッキレ。
これぞエンターテイメント!!って感じで、純粋に楽しめました。
子役の女の子たちも何気に歌もダンスも上手で可愛い。
内容はね、あんまり難しく考えない方がいいかも。
シルク・ド・ソレイユ風の華やかな舞台とか、ダンスや歌を楽しみたいならおすすめ。
大画面で観るときっと楽しいですよ。

ヒュー・ジャックスマンといえばX-MEN
でもX-MENで眉間ジワで深刻そうに戦ってた時と違って、終始あっけらかんと、どこまでも軽くはしゃいでいて、幸せな主人公を演じてました。
歌も踊りも上手で、この人、本当はこっちの方がセンスあるんじゃないかしら、と思ったりして。

実在したP.T.バーナムさんは、おそらく拝金主義者でかなり俗っぽいおっさんだっただろうと思うのですが、そこをヒュー・ジャックスマンがうまいこと、少年のようなひたむきさを持つ男に演じて、嘘っぽいほど爽やかに仕上げてました。

ストーリーもシンプル。
現実には色々と難しいであろうテーマも、そういう重たい面倒なところはサクッと省いて明るく仕上げています。
その分、毒気が抜けてあっさりしたテイストに仕上がっている気もするけど、そこは好みの問題で。

さて、以下ネタバレ。






貧しい仕立て屋の息子フィニアスは、父が仕立てに通う顧客の家の娘チャリティと仲良くなります。
しかし、チャリティは花嫁育成寄宿学校へ送られ離れ離れとなり、さらにフィニアスは父に先立たれてホームレス状態に。
それでも、夢を失わない少年は、密かにチャリティと文通を続け(どうやってたかは映画ですから、、、)愛を育んで行きます。
ここ、オリバー・ツイストっぽくていい感じ。

やがて鉄道会社に就職し、大人になってチャリティを迎えにいくフィニアス。
チャリティの父は反対しますが、それを押し切って結婚。
子供も二人恵まれ、貧しいながらも幸せな生活。
けれど、鉄道会社が倒産。
フィニアスは職を失います。
ところがここでなんと、会社が所有していた船の登録書をちょろまかして船主になりすまし銀行からお金を借り、博物館を始めるフィニアス。

そう言えば、切手も買えないホームレスのくせに、ちゃっかりチャリティに手紙を送ったりと、少年時代からすでに詐欺師というか山師的素質があったフィニアスでしたっけ。

そうして始めた博物館は、しかしうまく行きません。
焦るフィニアス。
娘たちが言った言葉をヒントに、見た目に特徴のある(ユニークな)人たちを起用したショーを演ったところ、それが大当たり。
大金持ちになります。

フィニアスの興行はしかし、下品だと上流階級の人々には受け入れられず、『偽物』だと言われます。
お高い人々の眉をひそめるようなものでした。
けれど、お金になれば良いんだもんね、観客が楽しめれば良いんだもんね、と割り切るフィニアス。
相棒に組んだ上流階級出身のカーライルのおかげで、イギリス女王の謁見が叶い、逆に箔付けされて絶好調のフィニアス。
そこで出会ったスウェーデン出身の美人オペラ歌手を口説き落として、ニューヨークで自分の公演に出演させ、またもや大成功。

しかし、彼の雇った出演者たちを厭う地元住民とのトラブルから劇場を燃やされ、その上オペラ歌手と全米を廻るツアーは最終的に失敗、全財産を失います。
おまけにそのオペラ歌手と浮気(してたよね絶対)してたのがチャリティにバレ、どんな状況でも彼を支えてくれた糟糠の愛妻を失い、ますますどん底へ。

ここで、お約束通り一人寂しく呑んだくれているフィニアスを励ますのは、彼が見出したフリークスたち。
成功して上流階級気取りになったフィニアスに邪険にされて失望していた割に、そこは暖かく許してくれてます。

呑んで歌って踊って元気を取り戻したフィニアス。
まずは妻を取り戻し、仲間たちともう一度ショーを始めます。
最後は火事から無事復帰したカーライルとともに、盛大なショーを成功させ、満面の笑みで娘の発表会へ向かうフィニアス。
なんと象に乗ってます。
ハッピーエンドで終わり。
重いところもなく、楽しく気持ちよく、観られる映画でした。


映画で頻繁に口にされるFreaksという言葉。
字幕では偽物と訳されていますけど、本当は奇形とか異形、障害者とかの方がしっくりくる。
実際、”フリークス”という題名の映画がありましたっけ。
この映画、実際のP.T.バーナムサーカスをモデルにしている話だそうですが、公開直後から世界中で上映禁止となって、30年以上日の目を見ることがなかったという曰く付きの映画だそうです。
大学時代、とある非常勤講師の先生に『君達はこういう世界があることを知っておくべきだと思うから』と、わざわざ海外版を録画したものを見せられたけど、まあ、かなりショッキングな内容でした。
映像の暗さやコピー画像の粗さもあって、しばらく気分が悪くなった覚えがある。

今回の映画では、さらっとなぞっているだけだけど、やっぱり当時でもいわゆる良識ある人々に批判されていたのは確か。
今だったら、人権保護団体やマスコミに袋叩きにされていることでしょう。

でも考えて見たら、そんなバーナムを主人公に、ここまであっけらかんとした映画を作れたのは『今』だからかも。
最近になって障害者たち自身が、障害者であることは憐れみの対象ではない、という主張をするようになったことも関係しているのかな、と思ったりして。

www.ted.com

P.T.バーナムという人物をどのように捉えるかは、時代によって違ってくるように思うのですが、今回は、”見た目や身体の不自由”という社会を生きて行く上での大きな障害を逆手にとって、障害者を表舞台に出し成功した人物、という捉え方で、あくまでも明るく、軽く仕上げて、一般受けするお話になったのだろうな、と思いました。