とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

魂の退社〜を読んで

50歳を契機に会社を辞めた方の本です。
奥付を見たら、1965年生まれとある。
同い年なんだ〜。
俄然、親近感が湧きまして、早速図書館から借りて来ました。

でも、共通点は生まれた年と女性だということくらいだった。
何しろ、ご卒業は一橋大学
お辞めになった会社は朝日新聞社
論説委員、編集員をなさっていたとか。
コラムニストとして、名前入りの記事も書いてた方です。
エリートじゃん。
それも、パワーエリートってやつ?

色々な立場の女性がいる、そのこと自体はすごく良いことだと思うのです。社会が豊かになって来たおかげだと思います。
でもな、読んでて、あんまり共感できる部分がないと言うか、やっぱり住む世界が違いすぎるような気がしてしまいました。
独身で、お子さんもいない方みたいだし。
なんだかんだ言って、相方がいるとか扶養家族がいるとか、は女性にとっては大きいです。

ともあれ、著者は40代の頃に、香川県に飛ばされ生活が変わるなど、会社員としての生活の中で、お金の使い方の根本を考え直し、会社に頼る生き方を考え直し、定年を前に退職を決意します。
これって、独身で面倒を見ないといけない家族がいないからこそできるんだよな〜。
身軽っていいな〜。

そして、辞めてみて初めて、無職だとアパートを借りるのも大変、だとか、国民健康保険のこととか、税金のこととか、様々な理不尽さに突き当たります。
って、そのくらい事前にリサーチしてから辞めなかったのかな?
仮にも新聞記者さん、だよね?

辞めてから、初めて知ることって割とあって、全部を完璧に調べ上げてイメトレまでしておく、というのは不可能だ、とは思うのですが、仮にも社会のことを一般人に知らしめるオシゴトをしている人がいいのか?それって。

それだけ、会社員って会社に守られているんですね。
きっと、一つの国家みたいなものなのでしょう。
会社文化って言うしな。
そして、その会社が倒産するとか、リストラされるとか、退職するとか、理由はともあれ、会社からはじき出されるって言うことは、ある意味『難民』に近いものなのかもしれません。
今まで当然のようにあった、守ってくれるものが、無くなるのですから。

先日読んだ楠木新氏の『定年後』でもいかに、会社員が会社に守られ育まれてきたか、ということをこれでもか、と書いてましたっけ。

社会に出てから、ずっと同じ会社に勤めてたり、辞めてもすぐ就職して来た人が、ふと、会社を辞めたら具体的にどうなるのだろう?
と思った時に、予行演習&イメージトレーニングとして読むには、ちょうど良い本なのかな、と思いました。
文章も、さすが大新聞社でコラムを書かれていただけに、読みやすいしわかりやすい。

辞めて、無職になったことへの心許なさも書かれてますけど、全体的に明るい調子なのは、なんだかんだ言って御本も出されてますから、経済的にも困ってはいないのだろうな、と思います。
なんだかんだ言って、この本も含めて色々と著作も出されているみたいだし、講演会にもあちこち行かれているようですし。

だから、著者のように「何にもない私だけど、辞めてもなんとかなる」と勢いでやめると、泣きをみることになるんじゃないかと心配。
だって、この方全然『何にもない私』じゃないもの。

と言うわけで、会社員でない私には、あまりピンとこない本でした。
会社生活うん10年、と言う人には、多分共感できる内容なのかもしれません。