とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

『未来の年表』と『2030年の日本』読み比べ

日本の人口問題についての本、二冊を読み比べて見ました。
と言っても、同じデータを使っているのでしょう、人口がこの先減っていく、という結論は一緒です。
細かいところも、あまり変わりない。

そして人口が減った日本で起こり得ること、もほぼ同じ。
働き手が減って、経済が衰退する。
高齢者が増えて介護問題が今より深刻になる。
それに加えて道路や鉄道などのインフラも老朽化してそのメインテナンスも大きな負担になっていく。
空き家が増えて、空き地も増えて、そう言った不動産を外国資本が買いあさっていく。
というあたりも一緒。

『2030〜』の方が、日本だけでなく世界各国の人口増減にも触れていて、人口問題ってただ日本人が減っていく、ということでは済まないことがわかったりする。
例えば、いずれアフリカの人口がもっとも増えて世界での発言力が強まること。
そこを見越した中国がアフリカへの協力を強めていて、いずれ国境問題などで、日本へも強い影響を持ってくるという話が載ってました。
言われて見て初めてそうなんだ、とわかる。

『未来の〜』の方は、細かい数字をきちんと出していますが、そういう広い視野の話になると、
”外国人がいつの間にか大量に日本にやってきて、日本人が少数派になってしまうぞ、大変だぞ”
という、やや感情論的な印象を与えるきらいがある。
人口が減って、防衛力に影響が出るとか、海外とのビジネス競争に負けるとか、そんな風に危機感を煽られてもね。
ごめんなさい、女子供にはピンと来なかったりして。

人口が減るとまず地方が衰退して、今は都会、今は東京が一人勝ちだけど、その東京が高齢化すると、いよいよ悲惨なことになる、という話は、よくわかる。
何しろ、都会に人口を吸い上げられてる、その問題の”地方”に住んでますもの。
鹿児島も中心部はいいけど、ちょっと郊外に出ると、このあたりの人はどこで買い物をするのだろう? というところがいっぱいある。
中心部でも、JRの駅を離れて路面電車の沿線沿いになると、食べ物屋さんやコンビニはあるけど、意外とスーパーマーケット的なお店が無くて買い物が不便、というところもあります。
実際、義母のところも、近所のスーパーが閉店してしまったので、定期的に義姉や相方のおじさんが、車を出して買い物に連れて行かないと、暮らしていけない。
我が家は、歩いて行ける範囲にスーパーマーケットが三つほどあるので、『まあなんとかなるかな』と思うけど、20年後にも同じ環境かどうかは保証の限りではないわけで。

道を歩けば、あれって空家?と思うような家も結構ある。
昼間はわからないのですが、夜になるといつも真っ暗。
何年か経つうちに、なんとなく荒れ果てた感が漂ってきて、『あ、空家だったんだ』と思うような家、近所にもあります。
『このあたりはきっと商店街だったのよね』などと思いながら歩いていると、腰の曲がったおばあさんが、昔からの習慣なのか、朝早くに家の周りを掃除していたり。
山間の道路を走れば、昔は水田だったのだろうな、と思うような草地が広がっているところや、唐突に太陽光電池のソーラーパネルが立ち並ぶ土地*が現れたりする。

『2030年〜』の著者も『未来の〜』の著者も、もう人口が減るのは仕方ない、安倍内閣の提唱する『1億人を維持する』なんて絵に描いた餅、だと言います。
仕方がないけど、ここは思い切って戦略的に縮小していこう、と述べています。
少ない人口でもやってける、国家として維持発展をして行ける国づくりが大切だと。

『未来の〜』では、そのための提案が10項目挙げられています。

その1)高齢者を減らそう:
統計上の”高齢者”を減らして60歳過ぎてたって生産年齢人口にしちゃえばいいじゃん、と言うことですね。
もうすでに、年金支給年齢が65歳に延長されてるし、高齢者も後期高齢者とそうでないのとで、診療費の負担額が違うし。
現実にそっちの方向に動いている気がします。
その2)24時間働くのをやめよう:
24時間営業とか辞めちゃおう。働く時間を減らそうよ、その分不便になるけど、そこは我慢しようよ、と言うことですね。
母親や主婦はいつも24時間対応させられてるんだけど、そっちの負担も減らしてもらえるんですよね、もちろん?
その3)コンパクトなまちづくり:
車がないと買い物にも行けないような、ばらけた住み方はやめよう。歩いてどこでもアクセスできる生活圏を作ろう、と言う案。
いかにも、都会に生活している人が考えそうな提案だ、と思いました。
でも、鎌倉は車の乗り入れ規制があって、街中がスッキリしているそうですね。
ブラジルだったか、自家用車を規制して、その分、路面電車を充実させた街作りをしている市の話を読んだことがある。
車がいらない生活は、意外と快適かもしれません。
そう言う町なら是非住みたいです。
その4)飛び地合併:
自治体同士を、別に地続きでなくてもでもいいから合併しちゃおう、と言う提案。
ふるさと納税なんて、個人レベルでのそう言う動きになるのかしら。
その5)得意分野で勝負しよう:
国際的に評価の高い分野に特化しようと言う提案。
シンガポールとかドバイみたいに?
これはやめたほうがいいような気がします。
その分野で負けたら、もうリカバリできないもの。
その6)イタリアみたいに国際的なブランドを持とう:
もう、持ってるんでないの?
その継承者がいないだけでしょ?
その7)人材育成:
わざわざ提言することではないような?
その8)中高年は地方に移住しよう:
東京に一極集中しちゃうのをやめましょう、と言う話ですね。
だけど、移住した中高年はいずれは要介護になっちゃうわけだけど、そのお世話は誰がするのだろう?地方が余計疲弊しませんかね。
ところで著者は、もちろん、地方在住なんですよね?
あとがきに、お母さんを呼び寄せて同居を始めた、ってあったけど、、、。
その9)セカンド市民制度:
だんだん、わからなくなってきました。その8)に関連してなのでしょうか。
ふるさと納税の市民バージョン?
移住しないけど、お金は落とすからよろしくってことかな?
その10)第3子以降には補助金を出そう:
そうだよ、出してあげようよ。
でも、現金だとまた不正受給とかなんとかありそうだから、保育園や医療費を無料にするなどの、お金がかからない形の補助のが良いのでは?

つい、揚げ足取り的な感想になっちゃいましたけど。
(やーね、年寄りって、すぐダメ出しするから)
コンパクトなまちづくり、とか、もっと簡単に大学に入り直せるようにする、とか、ぜひお願いします、と言う提案もあったので、そう言う未来があるといいな。

『2030〜』の方は、いっそ高校を廃止して、中学校から直接大学進学にしちゃえばいいよ、ついでに大学を専門学校化しようよ、と言う以外は、それほど具体的にどうしたらいいか、について印象に残った提案はなかったので、未来の年表の方が少し前向きかな、と思いました。

二冊とも読んでの感想、と言うか、これから自分なりにできそうなこと。
やっぱり早期リタイアは諦めよう。
もうとにかく働けるうちは働こう。
ついでに我が家の子供達が結婚するとか、子供を産み育てるとか、そう言う事態になったら、しのごの言わず、精一杯協力しよう。
そのためには、体力と健康維持が大切ね。
と言う、ありきたりな結論になるのでした。





太陽光発電ソーラーパネルの群れ*
郊外を走っていると、ほんと突然に、元農地だったであろう広大な土地に真っ黒な板の一群が。
高齢で農家をやめたお年寄りが、どうせ継承者もいないし、自然エネルギーだからお国の為にもなるし、と業者から上手く言われて始めるのだそうです。
何しろそこだけ真っ黒なので、ちょっと不気味。
相方のおじさんに言わせれば、これはエコどころか、将来的には自然も農業も破壊するだけの事業なんだとか。
ソーラー発電の効率は、実のところそれほど良くない上に、電力会社の買い上げ金額も下がってきていて、ランニングコストも合わず、ほとんど稼働していないのが実情だそうです。
その上、今後は老朽化してただの産廃物に成り果てるのは、火を見るよりも明らか。
それに農地って、ただ土を耕すだけじゃ作物は育たない。
耕して、肥料を入れ、ゆっくり時間をかけて土壌細菌を育てて、土を作るところからしないといけない。
何世代もかけて、作り上げてきた豊かな農地を、コンクリートで覆ってしまえば、あっという間に土壌細菌も死滅して土地が『死んでしまう』そうです。
そんな土地を、後から開墾してまた農地にしようとしたら、恐ろしく膨大な労力と年月が必要。
一度、壊してしまったら元に戻すのは大変、なのです。
なので、山道を走っていて、そう言う光景に出くわすたびに、おじさんは怒り狂うのでした。