とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

専業主婦になりたい!?を読んで

書評で、この方の著書『御社の働き方改革、ここが間違ってます!』が載っていて興味を持ったのですが、図書館には蔵書がなくて、こっちをとりあえず読んでみました。

著者はジャーナリストで、ご自身も子供を産み育てながら働き続けて、そうした暮らしの中で気になったことをテーマに仕事をしている人です。

最近の専業主婦のタイプをいくつかに分けて紹介しています。
私は専業主婦に憧れつつも、一度も経験したことがないので、ちょっと新鮮。
ある意味、もしかしたらこんな人生もあったのかもしれない、と思いながら楽しく読みました。

まずは三世代同居の渡鬼主婦。
これはないな、私は無理。
それから、親の援助で夫の夢を支える期間限定”ゲゲゲの女房”主婦。
これも無理だな。
うちの親も相方のおじさんのところも子供の面倒を見てくれるほどの資産はございませんでしたもの。
年収800万円台のプチセレブ主婦。
林真理子の小説によく出てきそうな主婦生活です。
うーん、やってみたかったかも。
飾らない年収400万円台主婦。
地に足系主婦。

それぞれの生活の楽しさを取材しつつも、リスクについてもチクリと言及しているあたり、ちょっと意地悪おばさん的で、私は楽しい。

加えて、女子が考える専業主婦になれる年収ライン600万円台の年収がある20代男性に『イマドキ男子の「理想の妻」』についても取材していますが、これがかなり辛口。

結局、専業主婦になるには色々と見えないリスクや、覚悟すべき苦労があって、それを受け入れる、あるいは見て見ぬ振りをして、無事に一生を全うできる運を期待するか、どちらかみたいです。
そうなんだ、専業主婦って気楽で良いな、ってずっと思ってきたけど、やっぱり楽な人生なんてない、わけですね。

この本を読んで、一番考えさせられたのは、
「今の20代から30代前半女子たちの母親世代は結婚せずに働くか、働かずに結婚して家庭に入るかその選択肢が多少は出てきていた。その上で後者を選んできた世代。だから、彼女たちの母親は皆「専業主婦で幸せだったわ」と言うし、娘たちの目にもそう映った」
と言う一節。
なるほどね、その母親世代に入るであろう自分を省みると確かに、周りの女性でも仕事が忙しくて、結婚しなかったのは結構いる。
結婚か仕事か、二者択一でしかなかった時代があったのですね。両方を選べなかった人もいたのです。

そういえば以前、オウム真理教に入ってしまったある芸能人女性のお父さんが、インタビューで娘さんのことを「仕事も、結婚も、子供も欲しいなんてそんな欲張りなことを考えるから、バチがあったったんだ」と評していたのをテレビで見て、それってバチが当たるほどに欲張りなことなんだろうか?と疑問に思ったことがあるけど、ちょっと前までは仕事をするなら結婚はしないもの、だったのですね。

そして、仕事が面白かったりして仕事の方を選んでしまった女子には当然、娘も息子もいないわけなので、結局、今いる若い人たちはほとんどが、「幸せな」専業主婦を選択した母親の子供達。
そりゃあ、専業主婦の方が幸せ、と思ってしまって当然ですね。

もちろん、仕事をしつつ主婦もしてた母親もいるけど、そう言う母親を幸せな人生、と評価できる子供がどの位いるのか。
何割かは「お母さんは仕事をしていていつも疲れていて、ストレス溜めて大変そうだった」なんて思っているかもしれない。

そうして、社会には専業主婦になりたい人の子供しか生まれてこなくて、だけど、専業主婦になるのは大変だし、かと言って共働きで子供を育てたら大変すぎて子供を持つのは無理。
そうやって、子供が減ってきているのだな、と思ったのでした。