とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

年収90万円で東京ハッピーライフ〜を読んで

pha、高村友也に続いて、同じような生活を選んだ人の本を読んでみました。

この人は、はっきり自分で20代で隠居した、と言っています。
かなり早めのアーリーリタイアさんですね。

家賃の安い郊外のアパートに住んで、仕事は週に2日ほど介護関係の施設で働いて、とかなり現実に近い形でのリタイア生活をされています。

一人は寂しいからと同じような考えの人を募って、都会のシェアハウスで共同生活をしているpha氏と、他人と関わりを持ちたくないからと、山梨の山奥に土地を買って掘っ立て小屋に一人で隠れ住んでいる(実際に住んでいるかどうかは意見が分かれるらしいけど)高村氏の中間くらいの暮らしかたでしょうか。

割と、現実的に実践できそうな暮らしかたです。

前の二人と違うのは他にも、この人だけ高卒だってこと。
学歴に関係ない生活、と言いつつ、やっぱり人と違う生活をする人が本を出すにあたっては、大抵、東大卒、京大卒をどこかでうたわれている。
そこには、こういう高学歴な人があえて、だったり高学歴だからこそ、こんな生活を選んだのであって、そこには深遠なる思索の跡がある、はずよね。
という、出版社側の主張を感じる。
その点、この人は堂々と高卒、です。

図書館で本を読んだりして、知識と教養を身につけたそうです。
そのせいか、他の二人よりもずっと自分の言葉で語っている気がする。

中学の頃にいじめにあったこととか、自身がゲイだったりと言う要素もあるのかもしれませんが、やっぱり、変にお受験教養がついていない分、言葉が身についている気がします。

この人も含め三人とも、仕事を辞めて海外をしばらく放浪しています。
日本人も国際的になったものです。
というか、海外に行かないと人生や、生活や、思想についてリセットできない。
というマインドセットが、日本にはあるんじゃないかとすら思える。

他の二人は、特に高村氏なんかはフィリピンでダイビングしたりして遊んでいたようですが、この著者は、ちゃんと働いている。
ロンドンでちゃっかり不法就労しています。
たくましい。
仕送りだったり、援助だったりをしてくれる親がいない分しっかり地に足がついている気がします。
そしてその時期に、自分のペースで生きること、についての実感を得たようです。

そしてこの著者も、
「世の中の当たり前に従わなくていいんです。もっとシンプルにいこうよ。」と言っている。
「ルールができるからには『こうしたほうがみんなが暮らしやすい』みたいな理由があるはずで、その理由が実生活で成立しなくなったら、守る必要ないと思うんですけど。必要ないものを守り続けることで、逆にいま暮らしにくくなっちゃってる」
「いい悪いとか、正しい間違っているみたいな、相対的で対立的な価値観って疲れると思う。間違ってる何かがないと、自分が正しい側に立てないと言うのはしんどくなでしょうか。世の中ってそういうふうにはできてないと思うんです。」
と言っています。


「いじめられていたときもそうだったけど、何も感じないことにしたほうが、その場は圧倒的にラクなんです。だけど、これを続けていくと、物事は見えないとこから壊れていく」
と、著者は言います。

高村氏はちょっと違うかもしれないけど、三人とも自分の身体からの信号を大切にしているところが共通していると思う。
それと、三人ともほとんど同年代。

こういうことを感じたり、考えたりして、実行に移す若者が増えているってことなんでしょうか。
そして、彼らの本を読んで、全部とは言わないまでも、どこか共感している五十過ぎの私がいるわけで。

内田樹も、人間も生き物なのだから、なんでも頭で考えて処理しないで、身体からの信号をちゃんと聞き取ることが大切だ、と、よく著書の中で強調しています。

そういう信号を聞き取れなくなると、鬱だったり、適応障害だったり、過労死だったりに追い込まれてしまうのだと。

誰だって、鬱や過労死なんて、嫌です。
抜け出せるものなら、抜け出したい。
抜け出した人がいるんだ。
じゃあ、私も、出来るかも、と、本を読んで、同じように考える人が増えていくのかもしれません。

政府がせっせと、働きかた改革とか、プレミアムフライデーとか言って旗振ってますけど、そういう、お上の思惑とは違うところで、草の根的に社会は変わってきてるのでしょうね。

じゃあ、我が家の子虫達が同じことを言い出して、同じ生活を選択したとしたら?

うーん(~_~;)