とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

小笠原先生一人で家で死ねますか〜を読んで

上野千鶴子と日本在宅ホスピス会会長の小笠原文雄との共著です。
家で、最期を迎えたい人がどんな支援を受けられるか、どんなことが障害になるかを例を挙げて説明しています。

情報が古くなっている部分もあるとは思いますが、やろうと思ったらここまでは出来るんやな〜ということが、一通りわかると言う点で、入門書としては一読の価値はあるかな、と思いました。

結論としては、やっぱり本人の強い意志と、周りの援助があれば在宅で、比較的望んだように死を迎えることが出来る。

本人の強い意志がないと無理。
ついで、本人の気持ちを組んでくれる経験豊かなサポートがいないと無理。
そして、家族の理解がないと無理。

実際、遠くから戻ってきた身内が横槍を入れて結局は入院、がっつり延命治療、不本意な最期。
と言う例は、珍しくない。

どんな手だてを尽くしても自分の親には一分一秒でも長く生きて欲しい、と思ってしまうのは、子供の側のエゴイズムでしょうか。

という、上野千鶴子の問いに、小笠原医師ははっきりとこう答えています。

そうだと思います。〜中略〜自然な「死に時」を奪われ、心身共に苦しむことになりかねません。刀折れ、矢尽き、万策尽きての「敗戦死」となります。〜中略〜
意識がなく、また苦痛を耐えることだけを余儀なくされ、人間の尊厳を保ちがたい状態に至った親に一分一秒でも長く生きて欲しいと願うのは、このエゴイズムだと私は思います。

本書には相続税の控除や、自分の旅行を優先させたい家族の意向で、望まない入院と延命治療を受けざるを得なかった人の例が挙げられていて、著者たちの憤りを感じた箇所も。


それに『比較的』とつけたのは、現実には、完璧に希望通りにはいかないと思うから。
そもそも、本人だって何を本当に望んでいるか具体的にはわからないと思います。
人によって事情が違うでしょうから、現実にどうなるかは、やっぱりやって見ないとわからない、と思いました。

何しろ、初めて死ぬんですから。
やり直しは出来ないし。

でも、最期を迎えたい希望がある人にとって、サポートしてくれる団体がいてくれて、利用できる制度があるのは心強いはず。
最初から、無理だと思っていて諦めるよりは選択肢があると言うことは良いことだと思います。

あとはそのサポートが特別な個人でないと出来ない、と言うのではなく、誰がやってもできる、というのは必須なこと、と思います。

だから私も実際の仕事では、ぶれない様に頑張らなくちゃな、と思った次第でした。