とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

モスキート音

先日、とある御宅にお邪魔した時のこと。
そこは、元気いっぱいなご主人が病弱な奥様を介護しています。
ご主人の心配は、最近、耳が遠くなった奥様がテレビを見ても、内容がよく聞き取れなくて、楽しみがなくなっているのではないか、ということ。
今後、補聴器を作ってはどうか、などと相談に乗っていると、どこからともなく、ピィ〜ピィ〜という音が。
少しずつ大きくなりますが、ご主人は全然気づいていない様子、元気に話を続けます。
でも、同行の看護師さんは音に気づいているようすで、キョロキョロしています。
二人で顔を見合わせる。
「やっぱり、なんか聞こえるよね?」
思い当たることあり、失礼ながら台所へ行くと、やっぱり、、、。
冷蔵庫のドアが開いてました。
実家の母もよくやるんですよ。
庫内の温度が上がると、アラームが鳴る仕組みは大抵の冷蔵庫についていると思うのですが、あいにく音の周波数が高すぎてご主人には聞こえなかったのですね。
いわゆるモスキート音。
ご主人自身は、会話もしっかり出来るので、ご自分では難聴の自覚がなかったようです。

歳をとると、耳は遠くなるのですが、全部の音が聞こえなくなるわけじゃなくて、まずは高い音域から聞き取りにくくなります。

耳の奥にある内耳に蝸牛という、文字通りカタツムリやアンモナイトの殻のように渦巻きになっているところがあります。
音はそこを伝わる時に、蝸牛の壁に生えている有毛細胞を刺激して音として脳に伝わります。
高い音ほど周波数が高く、小さな波になるので奥へ進む。
それで、高い音に反応する有毛細胞は奥にあるのです。
でも、奥の方の有毛細胞ほど、繊細で壊れやすく数も少ない。
だから歳をとると、高い音から聞こえづらくなるのです。
よく、”年寄り耳”って言いますよね。
お嫁さんが話しかけると、無視するのに、息子さんが声をかけるとよく返事をする。
嫁が嫌いだから、ではありません(ちょっとはあることも笑)。
お嫁さんのトーンの高い声は聞こえないだけなのです。
お年寄りにとっては、子供や若い女性の声は、超音波。
なので、お年寄りと話をするときは、ドスの効いた低い声を心がけると、聞き取りやすくなります。

加齢だけでなく、大きな音を長時間聞くことでも難聴になります。
ヘッドホンで大音響のロックミュージックを何時間も聞いていると、難聴になることがあります。
要注意です。

さて、冷蔵庫に限らず、大抵の家電製品のアラームや、時にはドアフォンや電話の呼び出し音も、お年寄りには聞き取りににくい音の高さに設定されている気がします。
アラーム音に助けられることが多いのは、お年寄りの方が圧倒的に多いはず。
メーカーさんには、ぜひ高齢者に聞き取りやすい音域のアラーム音を開発していただきたいものです。