とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

ウエストワールド〜感想続き

週末にアメリカのテレビドラマシリーズ『ウエストワールド』を一気観して、なかなかに面白かったのですが、エピソードを整理するのでもう一杯で、『ああ、面白かったー』で一旦終了してしまってました。
それが週が明けて、再びじわじわときているので、しつこく感想。

エピソード内で何度も繰り返される、“いつもの変わりばえしない日常”というテーマや何度も言及される“ループ”という概念は、普段の私たちの生活でも割とおなじみ。

今日も今日とて、対して大きな変化のない通勤風景の中、いつものように顔だけ知ってる他人を見ながら通勤して来ると、ひょっとして、私も毎朝リセットされてる?みたいな気分になって来る。
今の自分の有り様は、今まで生きてきた結果だと思っているけれど、実は誰かに入力された記憶に過ぎなかったりして?

たまには設定から逸脱した行動を取っちゃおうかな、なんて思ってもそれができないのは、ここがテレビの世界じゃなくて現実の世界だと、知っているから。
。。。と、思っているのは自分だけ、とか。。。

なんてことを考えていると、普段のつまらない通勤路もちょっと物珍しく見えてきたりして。
こんな風に、日々の生活を乗り越えていくのに少しのスパイスになってくれる”お楽しみ”があるのって、いい事です。

またドラマでは、人工知能であるホストが意識を保つために、心が二つある状態にして、会話をさせると言う理論があったけど、これって、統合失調症のホストを作っているようなものじゃないかしら、とか。
でも確か将棋でAIに教育させた過程って、同じ能力を持ったコンピュータ同士を、延々と対戦させることたったらしいから、そう言う形で意識を持たせることもできるのかな?

人間だって、心の中でいい子の自分と悪い子の自分が言い争うことってよくあって、それを”葛藤”と言うわけで、葛藤する状態を人為的に作って意識を芽生えさせることを、ウエストワールドの創始者アーノルドは目指していたのかしらね。
でもって、最初は営利優先だった共同経営者フォードもなんだかんだ言って、アーノルドの実験に手を貸したくなったのかな。
ただ、その二心理論のおかげでホストの一部は意識せずして産業スパイにされてしまうこともある。
そういえば、空っぽになった頭脳部分は大量のデータを入れて運べるデバイスになる、なんて設定、大原まり子のSFにありましたっけか、また読み返してみなくては。

シーズン1では、ホストであるメイヴはワールドを脱出して現実世界に行こうとしますが、土壇場で引き返してやっぱりワールドに戻って行きます。
自由意志だと本人は思っているけど、これも設定、とも思わせられる。
なんてことを思っていたら、ちょうど、AFNイーグルスの”ホテルカルフォルニア”が。
最近、毎日のように流れてます。
この歌詞よく聞いていたら、最後の方で夜警のおっさんが言うセリフ『we are programmed to receive.』なんて、まさにこのドラマシリーズのホストに向かって言っているみたい。
さらに続く『You can check out any time you like. But you can never leave』の部分も意味深です。
ドラマの製作者たちの脳裏にも、この歌詞が流れていたりしたのかしら?

などと言う、ドラマの裏事情について、あれこれ好き勝手なことを考えたりする以外にも、このドラマ、なんと言っても面白いポイントは、ホスト役の俳優さんたちの顔芸&演技だと思う。

スイッチがオンになった時、オフモードの時、解析モードとか、感情モードだけオフとか、とにかく多様な指示に従って、顔や声の調子が瞬時に変わる。
このシーンだけでも、見てて飽きません。

人間もこんな風に、スパッと切り替えられたらいいのに、と思うけど、身近にこんな風に感情も対応もすぐ切り替える人がいたら、それは実は気持ちが悪い。
機械だと思っているから、面白いと安心して見てられるってのも、考えて見たら不思議、です。

エピソードごとに、登場人物を整理していくと、細かいとこに矛盾があったりもするのだけど、哲学的なセリフがぽんぽん出てくるし、オリジナルの映画にちょい役で出てきた人を思い出させるような人が出てきたりするし。
例えば、ウエストワールドにお客としてやってくるちょっとひたいの寂しいギョロ目のお兄さん。
映画の方でも、主人公たち二人と一緒に西部の世界にやって来るいかにも地味な感じの髪の毛の薄いおじさんと、親子?と思うくらい似ている。
ワールドのサービスを観客に”説明してくれる”と言う、役回りも一緒だし。
ほんと、どっちもちょい役なんですけど、独特の風貌で印象に残ります。

こう言う細かいところも作り込むから、アメリカのT.V.ドラマは本当に質が高い。
映画も面白いけど、こちらも捨てがたい。
しばらくアマゾンプライムで観まくってしまいそう、です。