とりあえず始めてみます老いじたく

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デービッド・アトキンソン 世界一訪れたい日本のつくりかた

前作『日本再生は、生産性向上しかない!』の第1刷発行が2017年6月7日で、こちらが同年7月20日と、アトキンソン先生ものすごい勢いで書き飛ばしておられます。
さすが、元銀行アナリスト。
アナリスト時代、企業分析のレポートを大量に書いて、同僚に煙たがれていたそうです。
そういうことを堂々とかけちゃうところは、やっぱり外人さん(の良いところですね)。

もっとも本作は、2015年にベストセラーになった(読んでないけど)『新観光立国論』の加筆バージョンだそうなので、それほど大変ではなさそうですが。

さて、前作でちょっと厳しく言いすぎた、とでも思われたんでしょうか、本作はどちらかというと、よいしょ気味。
と言うか、頑張ればできる!伸び代はある!やるなら今でしょ!とまるで、予備校の先生。

内容は概ね、前作と一緒で日本にはポテンシャルがあるのに、過去の成功体験に引きずられて効率の悪いことばかりしている。だから、そこを改めようよ。
そもそも、経済発展できた理由だって、日本人が思っているのと違うから、日本人(のおじさんたちの)の勘違いだから。
と言うもの。

観光が、今や輸出産業となっているなんて知りませんでした。
著者の言われるように、私も、観光に対して偏見があった。
自然がいっぱいのどちらかというと未開発なところとか、過去の文化が残っているようなところ、というイメージでした。
もちろん、そういうところも観光地だけど、そこでお金を落としてもらうには、ただ設備を立派にするだけではダメだよ、という話。

総合的リゾート施設を作るべき、とか、ギャンブルに対して感情的になんでも否定することの不合理さとか、私には新しい視点でした。

そして何よりこの本は、鹿児島の商工会とか自治体にいるおじさんたちに読んで欲しい。

持っているポテンシャルをちゃんと活かせていない。
効率の悪い旧態然とした体制を一向に変えようとしない。
批判されるとすぐ感情的に否定する。
お客ではなくサービスを提供する側の都合を優先した『昭和の時代の観光』を未だに続けていてどんどん人が訪れなくなっている。
etc、ect、、、

もう当てはまるものばかり。

『唯一当てはまらない、日本はハードは一流だけどサービスが二流』というところは、単に鹿児島はハードが一流ですらない、という悲しい事実。
古い昭和なホテルばっかり。
海に面しているところがいっぱいあるのに、いつ行っても営業してない海の家と整備されていない(地元の人しかいかない)浜辺。

霧島は質の良い温泉で有名ですが、温泉ホテルなんてどんどん閉鎖していて、まるでホラー映画に出てくるみたいな建物と化してます。

さらにさらに、霧島だけではありません。
人口の多い鹿児島市だってね、全国チェーンのビジネスホテルしか無いし。
老舗のホテルは軒並み潰れて、山の上にひとつだけ城山ホテルってのがあるけど、山の上だからアクセス最低だし。
それに鹿児島市内でしか通用しない交通系ICカード
それですら使えないバスもある。
せめて、空港バスくらいはSuica使えるようにしてよ。
(ついでにICOCASUGOCAもね)

バスの路線だって、随分と間違って表示されてますが、一向に訂正されてない。

鹿児島の昔の繁華街である天文館は、どんどん寂れていく一方。だって、お店が威張ってて全然お客様目線じゃないもの。
お店だって行きたくなるような魅力あるお店がほとんどない。

イオンはありますよ、一応。
でも、若い人たち向け。
車ないと行けないし、若者向けのファストファッションのお店か、子供連れ向けのお店ばっかりだし。
行って楽しい大人向けの街、じゃないですね。

今度、大型客船が着岸できる波止場を作るそうですが、相方のおじさん曰く、鹿児島には観光バスが全然ない。
だから、大型客船が接岸しても、ほかの県からの観光バスが上陸客をみんな自分の県に連れて行ってしまうから、鹿児島にお金は落ちないよって。
鹿児島県内の観光地だって、アクセスがいいとはお世辞にも言えません。
バスも鉄道も通ってないとこばっかりだし。

本当にね、設備さえ作ればそれでいいって考え、もうなんとかして欲しい。
ちゃんと回るようなシステムもつくんなきゃダメだよ。
ぜひ、この本を読んで努力して欲しいものです。

でもそういう人たちって、読んだとしても、自分のことを言われてるなんて、思いもよらないのだろうな。

だいたいね、鹿児島のおじさんたちときたら、何かと明治維新を持ち出すけど、もう150年も前のことしか自慢できないって、その後、どんだけ何もしてなかったの?と言いたい。
明治維新は凄かったかもしれないけど、それ、あなたたちがやったことじゃないよね?
遠い遠い昔の誰かがやったことでしょ?