とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

デービッド・アトキンソン 日本再生は生産性向上しかない!

著者はイギリス人。
イギリスはオックスフォード大学をご卒業ののち、華麗な職歴を経て、現在小西美術という日本の会社の社長をされています。
生年月日を見たら奇しくも私と同じ年、1965年生まれ。
なんか、それだけで親近感持ってしまった。

でも、同じなのはそれだけ、でした。

片や、有名大学出身の超のつくよなパワーエリート。
お勤めになっていた会社もソロモン・ブラザーズや、ゴールドマン・サックスと私だって知ってるような超メジャー。
42歳でいわゆるアーリーリタイヤメントを達成されて、京都の町屋を買って改修したり、茶道を嗜んだりしているところを、望まれて日本の会社の経営に携わります。

そして、経営者として日本の社会を厳しく批判しているのがこの本。

曰く、日本の生産性は、実はもともと先進国の中でも低かった。今までの日本の経済発展は、単に戦後の人口増加が著しかったから。低い生産性でも増加した労働人口で補っていただけ。
さらに、成長率が高かったのは、そもそも戦後に落ち込みがひどすぎて、最初のスタートラインが低かったから。
と、もうけちょんけちょん。

ひょっとして、と思っていたけど、はっきりと数字を出してそう言われたら、やっぱりそうなんですか、と思ってしまう。

経営者として、日本の文化財への意識の低さや、予算の貧しさに相当ご立腹なのでしょう、非効率大国ニッポンとして、さらに厳しいご指摘が。

ついで、日本の生産性を上げていくためには観光にもっと力を入れるべきだという著者の意見が述べられています。

ちなみに観光に力を入れよう、という著者の主論については次作『世界一訪れたい日本のつくりかた』でさらに展開されています。

その観光立国となるために、まずは『海外で人気の日本文化』についての認識を改めるべき、と著者は釘をさします。

富士山、寿司、桜、相撲。
どれも日本を代表する言葉ではありますが、それだけが日本の魅力なのか、もう少し客観的に考えてもいいのじゃないか、という意見には賛成です。

日本人の考える”魅力ある日本文化”は、外国人から見て全然魅力的じゃないし、例の”おもてなし”だって下手したら独りよがりの押し付けかもしれませんよ、と。
そこんとこ、わからないでもありません。
『これをしたら喜んでくれるでしょ、ね、喜ばないのは人間としてどうかと思うよ』みたいな、善意の押し付けくらい迷惑なものはありませんし、『喜ばなくちゃ』と思いながら接待されることくらい、気疲れすることはありませんもの。

そういう独りよがりな”おもてなし”やサービス残業で、生産性を下げて非効率な働きかたをしているのが、日本人、なのかもしれません。

残業は実は、人件費だけでなく、会社の照明やエアコンを稼働させるコストなどもかかる。残業をさせない方が、コストダウンになるのに、残業している方が偉い、みたいな働きかたを続けている。そうやって、生産性を落としているのが日本。

そうだそうだ〜( ´ ▽ ` )ノ

会議運営の下手くそ加減は、やっぱり指摘されてます。
曰く『日本人は他人の財布は盗らないが、他人の時間は盗む』。

なるほど、よく言った!( ̄ー ̄)ニヤリッ

日本人だって、あのつまらない長い会議にはうんざりしてるんです。

面倒臭がりの役所は、ちょっとクレームがつくとすぐに禁止にしてしまう。

やみくもな規制は観光だけでなく、国内経済へも悪影響を及ぼします。勝手ながら、私は日本の役所にもデータサイエンスが必要だと主張しています。クレームをつけてくる人は例外的な人なのか、過半数の代表七日、データを集めて対応するのも一つの手だと思います。

全くその通りだと思います。

同じように考えているのは、イギリス人だけじゃないのです。日本人だって(少なくとも私は)そう思ってます。

いまだに日本の銀行が、三時に窓口を閉めてしまうことにも、厳しい意見が。
私も、あれには疑問がありました。
中国だと、銀行は日曜日に開けるものだそうですね。
働いている人がお金を運用するのが、銀行。
なのに、働いている人ほど営業時間に行けないなんて、なんかおかしい。
銀行はマイナス金利のおかげで、利益が出にくくなって、経営が厳しくなってきているそうです。
だったら、今までのお役所仕事*を改めてもっと使いやすい窓口にしてもらいものだ、と思いました。

お役所の方が、最近は休日も開けているし、コンビニで各種証明書も発行できるようになって、よっぽど銀行より便利になってますけどね。


次作の『世界一訪れたい日本のつくりかた』も読んでみようと思います。