とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ

今年の台風は、なぜか鹿児島を避けて通るみたいで、今度の台風も何気に西にかすめて行きました。
とはいえ、朝の出勤時間は強い風が吹いてました。
朝、外に出るとなぜか魚河岸のような匂いが立ち込めている。
いつにない強風がここまで海の匂いを運んできたのでしょう。
潮の香り、というと風情がありますけどね、いや、やっぱりお魚屋さんの匂いです。
雨が降らないだけマシかな。
でも、雨が降らないせいでここ数日に降り積もった火山灰が舞い上がって、それはそれで辛い。
ちょっと気を許すと、『目が、目がぁ、、、、』とムスカ大佐状態になってしまう。

さらには丘を降りる時には、吹き上げて来る風があまりに強くて、リアルマイケルジャクソンも、体験できてしまう。
前に進むのが大変。

そんなお天気でも、お仕事には行かねばなりませぬ。

先日、念のために聞いてみたところ、クリニックでは開業以来、一度も台風や大雪で休診した事はない、のだそうです。
『だいたい、毎日80人もいる患者さんを4組のチームで手分けして、やっとのことで診察して回っているのに、たとえ1日分でも、他の日に振り分けるなんて、できっこないじゃないですか』
とあっさり。
そうなんですよね。
五月の連休の時などは、二ヶ月前から調整しているのが現状ですもの。
そういう自然災害的なものは一切、御構い無しの世界、でございます。

まあ、あんまりアクセスの悪いところは先方から
『危険なので、今日は来なくていいです』
と連絡が来ることもあるらしい。
だって、せっかく往診に行っても避難してて不在、ってこともあるわけで。
でも場合によっては、車が入れないようなところは、歩いてでも行くそうです。
在宅医療をするには、体力と根性も必要です。

今日は幸い、不安になるほどの強風が吹き荒れていたのは朝のうちだけで、あとはまあまあ。
帰りは、北九州に出張していた相方のおじさんが、ついでに駅から迎えに来てくれたので、ラッキー。
ただ、おじさんがいると晩御飯を考えないといけないわけで、最近は食材を無駄にしないようにとあまり在庫がない我が家。
晩御飯を調達しにスーパーマーケットに寄り道をしました。

平日なので、割と空いてます。
割引になっているお惣菜を購入。
レジには、最近よく見かけるようになった年配のおじさんがいました。
”ざ・再雇用”という感じの方です。
以前の職種が、スーパーマーケットのレジ係でなかったことだけは確実だな、と思えるほどに手際の悪いおじさんです。

周りのお客さんもそれとなくわかるのか、敬遠するせいで、おじさんのレジだけいつも空いている。
最初の頃、何も考えずにうっかり並んだ私に臆面もなく
『袋詰め、苦手なんですけど(だから自分でやってね)』
と言い切ったおじさん。
レジを通す速さが、他のベテラン女子職員の1.5倍はかかってて、その上、おぼつかない手つきでお肉のパックを、鷲掴み&ビニール袋抜きで、野菜も何もかも一緒くたに積み上げてたおじさん。
お肉やお魚のパックは、温度差でパック周りに結露がついたり、斜めに持った時に汁がこぼれたりするから、ビニール袋に入れるのがお約束。
普段から買い物をしている人なら、わざわざ言われんでも自然としていることです。
そして、柔らかいものの上に重い物、硬いものをおけば、下のになったものに傷がついたり、形が崩れたりする。
だから、カゴからカゴへ移す時にも、さりげなく分類しておいて行くのがベテラン。
明らかに、彼のこれまでの人生に、スーパーマーケットでお野菜やお肉を買ったことなどなかったであろう、と推察されます。

ものすごく、アウエイ感が漂うままに、それでも地道に働き続けていたらしいおじさん。
数ヶ月ぶりに会ったおじさんは、すっかり成長しておりました。
レジにはいるその姿も、どことなくこなれて馴染んでます。
手慣れた感じで空いているカゴをレジ台に乗せ、商品の積み込まれたカゴを引き寄せて、テキパキとレジを通しては、空いているカゴへ移していく。
お肉のパックも、海産物のパックも、ちゃんとビニール袋に個別に入れている。
その動作にも無駄がない。
これには、ビニール袋は要らんのでは?
というものも、きっちりビニール袋に入れてあるあたりは、まあ暖かい目で見てあげるとして。
カゴに移す手つきもこなれています。
ちゃんと商品も整理されている。
袋詰めはやっぱり苦手らしく、炭カル袋二枚をカゴに入れてお渡しされましたけど。
レジ係業の奥深さへの理解を、しっかり深めておられるようです。
手抜きの加減もね。

人間、幾つになっても努力を重ねていけば、成長するものなんですね。
頑張れ、おじさん。