とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

インフルエンザワクチンについてちょっと一言


インフルエンザが流行しております。
ニュースでも連日、報道してますね。

うちのクリニックでは、十一月中旬くらいから希望する患者さんに、インフルエンザワクチンを接種していきます。
施設を利用する人は、感染リスクが高いので、原則として全員接種します。
介護するご家族も希望があれば、自費ですが接種していただきます。
時には、小さなお子さんも一緒に接種します。
孫ちゃんたちが、インフルエンザを持ち込むことだってありますのでね。

私見ですが、予防接種やその他の(痛い)処置で、一番大変なのは3歳から5歳の男の子です。
6歳くらいになるとまあまあ分別もついて、なんとか我慢してくれるけど、5歳くらいだとそこが微妙な子が多い。
そして、男の子は力が強い。
子供は体が細いし柔らかいので、抱きかかえててもするりと抜けてしまうことが多い。
なのでしっかり関節を掴んでおかないと、暴れて大変なことになりがち。
かわいそうですが、ガッチリと抑え込まないと、たかが予防注射と言えども危険です。
ちなみに、抑え込むのに一番あてにならないのが、親。
我が子可愛さにか、肝心なところで力が緩む。
そして、ぎゃあああああっ、という絶叫とともに中途半端な体勢になった子供が大暴れして、注射針を振り回し、危険極まりない。
屈強な看護師さんにガッチリと、抑えていただくのがベスト、でございます。
ご参考までに。

という、修羅場をかいくぐり、毎日、何枚もの承諾書にサインをし、カルテにワクチン接種の記載をして(何度も”インフルエンザワクチン接種”、と記載しているうちに間違って”インフルエンザワチクン接種”と書いてしまったカルテ、何枚くらいあるのだろう)過ごした十一月と十二月。

やってきました。
インフルエンザ・オンタイム。

『流行っているから、今からでもワクチン接種してくださ〜い』
と言うご家族さんや患者さん、いるんです。
たまたま調子悪くて、予防接種の時期に打てなかったから、とか。
でもね。
ワクチンを接種してその予防効果が出るまでには、2〜3週間かかります。
予防注射したからって、すぐ効果があるわけじゃないのです。
だから、今してもねぇ。
効果が出てくる頃には、もう、春。
流行もピークを過ぎてます。

それにね。
インフルエンザワクチン、と言うのはインフルエンザのウイルスの感染力をなくした状態にしたものを身体に入れて、身体の免疫細胞に覚えてもらう、そうすることで次に、本格的にバリバリ元気なインフルエンザウイルスが入ってきた時に、病原性を発揮できないように、早めに対処できるようにする。
と言うもの。
言ってみれば、手配書を配っておいて『この顔にピンときたら免疫細胞さんやっつけてね』とお願いしとくんです。
ところが、インフルエンザウイルスというのは、すごく変異が早い。
言ってみれば、ルパン三世かイーサン・ハント並みに変装が上手。
なので、しょっちゅう手配書を配らないと顔が変わってしまう。
(だから、インフルエンザの予防接種は毎年するんです)
その上、みんな同じ顔じゃないので、この顔が一番多いだろう、と予測されるウイルスの型をワクチンに(つまり手配書に)しているので、運悪く違う型のウイルスに遭遇したら、免疫細胞も『なんか違うかも〜』と言ってスルーしてしまう可能性があるのです。

これが、『予防接種受けてたのに、インフルエンザにかかっちゃった〜』とか、『二回もインフルエンザにかかった〜』という事態になる理由。

だからね予防接種してたからって、絶対に、感染しないってわけじゃないのです。

やっぱり、地道にマスク、手洗い、うがい。
インフルエンザウイルスは、入ってくるところからブロック。
これが一番、なんですね。