とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

お天気よりも曇りが好き


冬の晴れた日。
からりと晴れて、風は冷たいけど乾燥してるとさらっとしていて、いかにも冬らしく身が引き締まって逆に清々しい。
しばらく曇りだったり雨だったりのはっきりしない日が続くと、たまの晴れ間は、気持ちも晴れて気持ちがいい。
だけど、そんなカラカラに乾いた天気が続くと、どうも仕事が忙しくなる気がする。

理由はインフルエンザ。

乾燥している方が、ウイルスが空気に乗って拡散しやすいのです。
湿度が高くてもウイルスの感染力は変わらない、という報告もあるにはあるけど、乾燥していても晴れてい日が続くと、しばらくしてインフルエンザの人が増えてくる気がするのは、気のせいでもなさそうです。
晴れていると気持ちもいいし、外に出たくなるし、そうなると多少の人混みでも出かけちゃうから、かもしれません。

だから、雨も降るんだか降らないんだかはっきりしない、薄ぼんやりと暖かい日が続く方が、私は好き。

残念ながら先週の鹿児島は、からりと晴れて乾いた風がピューピュー吹いているような日が多かった。
そのおかげか週の後半から週末にかけて、あちこちで『お熱が出ました〜』とか『なんか、普段より元気がないし、熱っぽいので往診お願いします〜』という電話が。
お年寄りは特にインフルエンザに罹ると、そのあとで肺炎になったり、他の感染症になったりと、あまり良いことがありません。

ええ、もう何軒も往診に行っております。
週末と言えども、全く休日感のない今日この頃でございます。
私が呼ばれる回数よりも、看護師さんはもっと電話相談があったり呼ばれたりしているかと思うと、頭が下がります。

お年寄りは、インフルエンザの症状があんまりはっきり出ない人が多いです。
おまけに寝たきりで意思表示もはっきりできない人、となると、ますますわかりにくい。
『普段と比べてなんかおかしい』
という、介護している家族や、施設の人のカンが頼り。

そして、ちょっとでも怪しい、となるとインフルエンザ検査。
鼻に細い綿棒を突っ込んで鼻水をグリグリと採取。
しっかり鼻水が取れてないと、ちゃんとウイルスチェックができないので、申し訳ないけど、ここは心を鬼にしてグリグリと容赦なくやります。
ちなみに自分には絶対されたくない検査、です。

検査でインフルエンザが陰性でも、安心はできません。
熱が出てすぐだと、検査してもウイルスが検出されないこともあるしね。
どうも怪しい、という人も含め、インフルエンザと診断したら、内服薬、吸入薬、点滴と各種様々なお薬があります。
昔は寝ているしかなかったのに比べたら、いい世の中になりました。

でもタミフルは、人によってはすご〜く鬱症状が出てしまうという副作用がある。

そういえば私の妹は、インフルエンザでタミフルを処方された時、ただでさえしんどいのに、服用してしばらくしたら『こんな病気になってしまって、もう生きてる価値無いかも、私』という気持ちがしてきて、これはやばい、と思ったそうです。
十代の子供の自殺企図が増えて、子供にはタミフルは出さない方がいい、というニュースが報道される前のことです。
他の薬も聞くところによると、同じような気分障害が出ることがあるらしい。
なので、私は自分では服用したことないです。
ただ、これも人によるので、どうも無い人はホントどうも無いらしいのですけどね。

今年発売のゾフルーザは、一回服用で効果があるらしいので、患者さんにもお財布にも優しいのですが、意外と採用のない医療機関が多いらしい。
効果のほどがはっきりしないし副作用もわからないので、今年は様子を見る、という対応らしいです。
うちのクリニックは、採用してます。
前からのタミフルも在庫があるので、状況に応じてどちらかを処方してる。
抗菌剤もそうですが、あんまり安易に使って効かなくなるのも怖いから、やっぱりインフルエンザは罹らないのが一番。

マスクは、地味に有効です。

マスクの繊維自体は、実はウイルスから見るとスカスカで、だから簡単に通過しちゃうのですが、マスクをしていることで、喉や鼻の粘膜が保湿されて乾燥が防げます。
そして、手指で無意識に顔を触ってしまう、という行為が少なくなる。
この二点が、ウイルス感染の一番の感染原因であり経路だったりするので、マスクをすることでその両方が防げるのですね。

実際、何年か前に新型インフルエンザが流行って、ワクチンもなくて、マスクと手洗い、うがいくらいしか方法がないっ、という時、みんなが真面目にマスク着用を実行したら、結果として普通のインフルエンザAやBも罹る人がすごく少なかった、という報告があります。

まだまだ、寒くて乾燥した晴れの日が続く冬。
みなさま、地味ですがマスクと手洗い、うがいは有効ですよ。