とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

働き方改革、して欲しいのはどこの業界も一緒だと思うけど

先日は、バイト先の忘年会でした。


ちなみにお店の名前は半魚人。

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鹿児島中央駅からほど近い、一番街の中にあります。

鹿児島は港も近いし、割と新鮮な魚介類がスーパーでも手に入るし、普通のお店でもお魚料理は美味しいのですが、その中でも、驚異的に美味しいのがこちらのお店。

今の時期は予約がほとんど取れないらしい。
取れても時間制限あり、だそうです。
今回も夜の7時から、ということで早めに行ったら、7時までの予約のお客さんで満席。
寒空の中、先客が出てくるまで待つことに。

ツワモノ常連さんの中には、あえて夕方6時ごろに入店して一時間で美味しくいただき、二次会へ、という使い方をする人もいるとか。
それでも、入店できないこともあるらしい。

今回は、なんと四ヶ月前に予約していたそうな。
八月ですよ、八月。
明日の予定どころか、いつ急患が入って、今日中に家に帰れるかもわからないような世界に生きている救急病院の医者が、四ヶ月前から予約してまで行きたいお店なんですね。

私も便乗して、美味しくいただかせていただきました。
( ´ ▽ ` )ノ。
とはいえ、いつも気持ちよく酔っ払って、『ああ、美味しかった〜』という記憶だけが残っているだけなんですよね。
今回も、最初に食べたあん肝と白子のポン酢和えが、甘くてとろり、生臭みゼロでお代わりしたいくらい美味しかったのと、最後の締めの海鮮のっけ盛りが、最高だったのしか覚えていない。
間で、いぶりがっこクリームチーズとか食べたはず(いや、これは前回だったか?)なんだけど。

上司いわく『ここのお店のはどれ食べても美味いから』
もう、何を食べても感動ものに美味しいのです。

さて、その美味しいお魚料理に舌鼓を打ちながら、うちうちの仲間同士、肩の凝らない会話を楽しんできました。

その中で出てきた話題が、最近、世間を騒がしている(?)医大の不正入試問題。
ずっと、途切れることなく報道されているので、バカみたいだと思いつつも、なんとなく見知ってしまう。
今回は、順天堂大学の”女子生徒の方がコミュニケーション能力が高いので”面接で落としていた、というあまりにもバカ丸出しで、コメントのしようのない話。
優秀だから、優秀な方を落とすって、どんだけおバカなのかしらん。
できない人材の方が欲しい、ってどういう業界?

私以外にもジョイさんもいましたしね。
娘さんが将来『パパみたいに医学部行きたい』なんて言ってくれるお父さんもいたりして、ちょっと盛り上がる。
酔っ払いの会話ですから、どんどん、話はずれていきます。
そして、いつの間にか臨床研修医制度の話へ。

知らない方に解説しておきますと、以前、私なんかが卒業した頃は、卒業生は希望する医局にそのまま入局するのが一般的でした。
だから、最初から内科医になるとか外科医になるとか、決まっていたんですね。
耳鼻科や、眼科などのいわゆるマイナー科に入局したら、全身を診ることなく専門分野だけをするしかなかった。
それが嫌で、大学に行かず、研修病院で内科や外科をあえて研修してから入局する志の高い研修医もいたのですが、そういう人たちは、医局の異端児としてあまり扱いがよくなかった。

あまりにも狭い専門分野しか診ることのできない医師が増えてしまった、という反省から(だと思うのだけど)始まったのが臨床研修医という制度。
以来、研修医は大学を卒業後、二年間で外科と内科、それから希望するいくつかのマイナー科を回ってから、自分の専門科を決める、ということになりました。

学生の頃にも、臨床実習という形で、全部の科を回るのですが、学生ですから実際の治療や検査に携われないわけで、ほぼ見学と座学になってしまう。
医師免許を取得して、実際に医療に携わり、その科の医師としての働き方を経験したのちに、進路を決める。
という、私から見たら恵まれているし、良い制度のように思えるのですが、実際に、その臨床研修医制度を経験した先生に言わせると、そのおかげで外科に進む気力がなくなったのだ、そうです。

やっぱり現実を見てしまうと、ということらしい。

彼曰く、
『元々は、外科医志望。患者さんを救う、格好いい仕事だと思ってましたし、だから医学部に入ったんだし。忙しいとか、大変、とか、わかってたけど。やっぱり憧れるじゃないですか外科医って、いかにも医者って感じで』
だけど、、、、
『同じ五十代の先輩医師の姿を見てたたら、ほとんど毎日病院に泊まり込みで、疲労しきっている外科医と、五時には颯爽と帰っていく精神科の医師とで、老け込み方が全然違ってて』
見えたのだそうです。
(もちろん、精神科だからって”楽”な訳ではないですよ)
そしてやっぱり、
『俺だって、近い将来、結婚して幸せな家庭を持ちたいし、嫁さんや子供たちと過ごす時間も欲しい。それよりも、あんなきつい生活を30年以上、続けて生き残れる自信がない』
と思って、外科を諦めた、のだそうです。

やっぱりね。

まともな感性の持ち主なら、普通、そう考えるよ。
前から現場では、みんな言ってたことだけど、臨床研修医制度になってから、外科に進む人は確実に減っている。
私の頃は、卒業生の三分の一くらいは外科に行ってたもんね。
まだ現実を知らない無垢な若者が、理想だけで外科に入局してたもんです。
そうして『あれ?思ってたのと違うかな?』と思っても、一旦入っちゃったからには『仕方ないな、今更、辞めたいとか言えないし』とそのまま頑張ってたのが、ぶっちゃけ私世代の外科医だと思う。
辞めたくても、医局の力が強かったし、他の生活を知らないと奴隷生活だって、それなりに天国だったりするもんです。

確かにね、女性の場合、結婚とか出産とか、性差差別とかで逆に『あれ、なんか違う』と思った時に、『じゃ、辞めた!(どうせオンナだもん、どうせ使えないもん)』と開き直れた分、そういう理不尽な世界から抜け出しやすかっただけ。

それを、女医が増えるとそういう”ブラックな働き方”をしてくれるおバカな若者が減る、という理由で入試を差別していたのって、なんか根本的に、間違っている。

そして何より、そのことがまかり通ってた、ってのがやっぱり問題なんだよ。

だから、もっと働きやすい職場環境を要求しよう!!
もっと休みをよこせ!!
医師の残業上限だけ、百五十時間とかやめてよ!!
長時間労働反対٩( 'ω' )و!!

と盛り上がったので、ありました。

それにしても、幅広い診療能力を身に着けるために始まったはずの臨床研修医制度で、外科医の働き方のブラックさ加減がバレてしまって、外科医が減って、女子学生を差別するようになり(いや、私の頃から差別はあったけど、そのころは性差あって当たり前の時代だったから)、それがついにバレて今の状況なわけですね。

今後はどうなっていくのかな、そもそも、医学部はじめ医療系がもてはやされるようになったのは、リーマンショック後の就職氷河期、とにかく食いっぱぐれのない”手に職”系の筆頭、ということで、もてはやされていた部分は大きいと思う。
実際は、きついし、汚いし、危険な(例えばインフルエンザの感染リスクが一番高いのは病院)、まさに3K仕事なんだけど。
世の中、景気が良くなってきて、人手不足も言われるようになって、就職状況も良くなってきてるらしい。
せっかく苦労して6年もかけて(研修医時代も入れたら8年も)お医者さんになっても、ずっとブラックな職場環境で条件が良くなる展望もないし、世間で言われるほどに収入があるわけでもないし、となると医学部志望が減っていくのでしょうか。

いずれは、外科医は外国からの出稼ぎ医師で占められるようになったりして。
どのみち、コミュニケーション能力に劣る医者しか外科医にならないらしいから、カタコト日本語のお医者さんでも大して変わらない、かもね。