とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

たしかに外科医働き方は考えた方がいいと思う


先日、東京医大の不正入試問題で、タレントの西川史子のコメントにげんなりしたのですが、こちらの方のは、なるほどと思う内容でした。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180808-00025877-president-soci&p=3headlines.yahoo.co.jp

フリーで麻酔科医をしている現役のお医者さんです。
ちゃんと医療の現場がわかっている人は、言うことが違う。
うんうん、そうだよそうだよ。
とうなずいてしまいました。

一方的に、女子受験生を排除しようとしていた東京医大の姿勢を非難することなく、冷静に、なぜそんなことになってしまったかを分析しているところも好感がもてます。

また、女性医師がバッシングされる理由として、ゆるふわ女医の存在も取り上げています。
私は、ゆるふわ女医さんだって、ある意味、今時の女性の行き方の選択肢なのかな、とも思う。
何しろ、私の頃よりも何倍もの倍率と、はるかに高い偏差値となってしまった医学部を、ちゃんと点数差別を受けつつも合格している女子です。
それで、『こんな女性ばっかりが差別される世界じゃやってられないや、適当に旦那(=子種&金づる)見つけてお気楽なセレブ生活しよう』と割り切れるくらい、世の中を見切っているのなら、もう、何を言いましょうか。
医療は聖職だから、とか、社会貢献とか、そんな綺麗事なんて、はなから見切っているのだから、それはそれであっぱれな生き方ではないでしょうか。

私だって、パワハラ、セクハラ、マタハラ数々受けつつ、それでも、歯を食いしばり、涙を呑んで、しぶとく仕事にしがみついてきたのは、実のところ、相方のおじさんが転職に失敗して、しばらく主夫兼フリーターだったせいで、私が働かないと一家が路頭に迷う状態だったから、と言うのが本音だったりする。
もしかして、超優秀な外科医(でものすごい旧家の血筋の)あたりと結婚して、子育てやお受験とかで、いっぱいいっぱいになったら、とっとと辞めて、問題のゆるふわ女医さんになっていたかもしれない。

罪の無い者が、まずその女に石を投げなさい。
ヨハネによる福音書

そして、ゆるふわ女医さんとマッチョおっさん医師の間で、黙々と過労死寸前まで働く独身女医さんの存在。
身につまされます。

やっぱり、結論としては、今の日本の医療現場における外科医の働き方は、考え直した方がいいよね。
と言う意見に、賛成。

だいたい、自分たちが忙しくて報われないのは、ゆるふわ女医のせいだ、と言っている時点で、被害者意識しか先になっていない。
本当の問題を個人の問題にすり替えてたって、いつまでたっても問題は解決しません。
過酷な職場環境を改善する努力もしないで、そんな環境でもいいと思うような体力馬鹿(すみません口が滑りました)しか生き残れないようなところで、女医のせいだとか他人の責任に全てを押し付けているような職場に、優秀な新人研修医が行きたいと思うでしょうか。

麻酔をしていると、若い研修医からベテラン医師の手術まで見る機会が多い。
手術って、ある程度までは経験した件数ですが、そこには確実にセンスと才能というものが存在します。
研修に来る若い先生を見ていても、同じ研修内容なのに手術がすぐ上手になる研修医と、いつまでたっても下手な研修医はいます。
上達度にすごく差がある。
もしかしたら、件数をこなさないと手術技術が取得できないような体力馬鹿(すいません、また口が滑りました)を優先したせいで、日本の医学界は、本当にセンスと才能のある、優秀な外科医と成れたはずの人材を、多数逸していたのかもしれません。
そうして、24時間病院に棲みつくような働き方しか知らない、著者が呼ぶところの『定額使いたい放題』の働き方が医者のあるべき姿だと思い込んでいる人達が、いつまでものさばっているから事態は改善しない。

日本が今、叩かれている生産性の低さは、こんなところにもあったのですね。

今回の記事の著者、筒井冨美氏の最後の結合で一番、頷いた一文。

今回の東京医大の事件は、単純な「女性差別はけしからん」で終わらせず、医者の働き方改革や医師養成制度の見直しにつなげて考えるべきだろう。私がフリーランスになったのも、従来の「定額制使いたい放題」のようなシステムでは、子育てどころか過労死しかねないと思ったからである。



全くだよっ。