とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

医大の合格者操作について

この問題については、あちこちで取りざたされているし、私ごときが意見を言うこともないのだけれど、さすがにこの人の意見には思うことがあったので。

www.msn.com


私はこのタレントさんを、名前と少しのコメントでしか知りません。
医師という肩書きだけど、臨床はほとんどしていなくてタレント業でやっている人、らしいという認識です。
だから、何を言おうと私に実害がない限りは、全然、構わないのだけれど、医業の現場を知らない人に、その現場の代表者みたいな感じで意見を言われるのは、本当に現場で働く者としてはなんだかな、と思うわけです。

西川は「東京医大に限らないです。全部(の医大)がそうです。だって、(点数の)上から採っていったら、女性ばっかりになっちゃうんですよ」と入試の点数だけで見ると上位の大半を女性が占めると指摘。そのうえで「そうすると、世の中が眼科医と皮膚科医だらけになっちゃうんです。例えば股関節脱臼のケースなどで人の重たい部位を背負えるかといったら、女性では無理なんですよ。だから女性の外科医は少ない。やっぱり外科医になってくれるような男手が必要なんです。だから、男性と女性の比率等はちゃんと考えていないといけないんですよ。男性ができることと女性ができることは違うから、それは仕方ない」と、医療現場を知る立場からコメントした。

何故、女子医学生が増えると、世の中眼科医と皮膚科医だらけになるのだろう?(*1)
私は眼科も皮膚科も専攻してないけどな。
女子医大の卒業生は、全員、眼科医と皮膚科医になっているのだろうか?
もうこの時点で、無茶苦茶なことを言っている気がする。

重たい部位を背負えるから男性医師が必要、という部分に至っては、何言ってんの?という気がする。
別に重くて持てないなら、持てるように道具や方法を工夫すればいいだけじゃない。
逆に男性で力が弱い人とか、重たい物持ちたくない人は、そうなるとそもそも医者になっちゃいけないのでしょうかね?
だいたい男性医師だって『俺、腰痛持ちなんで』とか言って、患者さんの移動手伝わないのいっぱいいますけど?

女医さんは、子育てを優先して働かないから、現場が困るって、子育てしながらでも現場に残れるように、システムを工夫すればいいんじゃないかな。
男性医師だって働き方を、考え直すべき時期だと思うのですけどね。

成績が上位じゃないと女子は、合格させてもらえない。
というのは、私の頃からあった話(*2)で、それでも医学部を目指したのは、当時は他の業界では、もっと男女差別がひどかったから(と言うか、そう言われていたから)。
男女雇用均等法、とかいうものが制定されたの、私が大学入った年ですもの。
医師だったら免許がある分、せめて仕事にはあぶれずに済むだろう、と思ったから。

だから、東京医大点数操作については、『まだ、そんなことやっとったんか〜い』
というのが、最初の感想。
むしろ表向きは男女公平です、と言いつつ、裏で”仕方ないよね〜”と操作していたことの方が、根は深く、救いようがない気がする。

どこかのお国を例にしなくても、表向きが綺麗な社会は、裏に回ると恐ろしいことになっているものです。
少なくとも、私の頃は割と公然と当たり前のようにやってましたから、皆『これっておかしいよね』と言えたし、言う人もいた。
そして、その分、いわれのない差別を乗り越える健気な女子医大生、みたいな視線もなくはなかった。

当時は『今は不公平な受験事情でも、いつか、私の次の世代には、公平な世の中になっているはず』と思っていたのに、そうはなっていなかったのですね。
それは、正直、ショックだった。
その上、女医という存在が、ネットの掲示板では叩かれ、ディスられる対象になっていたというのは、もう、なんと申しましょうか。

あれこれ調べていたら、気分が悪くなって来たので、この辺で。

『少なくとも、あなたたちは公平に受験できてよかったね』って女子医学生に言って来たけど、私の頃より陰湿な差別を受けたってことがわかったので、これからは言わないようにしよう。

この一件で、全国の医大がびびって、点数操作をやめた結果、女子学生の合格率が一気に6割とか7割とかになったら、いい気味だな。
ついでに、医師の働き方改革も進んで欲しい。

もし、今私が受験生だったら、東京医大受けちゃうかもな。
で、面接では
『今年、点数操作されずに判定してもらえるのが確実な大学だ、と思ったから受けました』
って言っちゃおうかな。

この一件が、頑張っている女子受験生の追い風になりますように。

あとは、粛々と自分に与えられた環境と仕事に感謝して過ごしていくだけですね。
黙って実績を積んで、いつかいわれのない差別を払底させるくらいの評価を得るしかない。
異国で苦労しつつ社会的尊敬を勝ち得た、日本人移民の心持ちで。




*1)調べたら、この方の出身は聖マリアンナ医科大だそうですね。
彼女が卒業した頃は、女子医大生はみんな眼科や皮膚科医になったのかな?
それで、こんなことを言っているのかしら?
それはそれで、大学教育に偏りがあった証拠じゃないか、と思うのだけれど。

*2)予備校では、女子受験生の合格割合が25%の大学は、一応、公平な点数評価をしてくれているはず、と言う指導を受けました。
ちょうどバブルの初めの頃で、出来のいい男子学生がどんどん文系&大都会に流れてしまい、医療業界はある意味ブラック(当時は3Kって言ってた気がするけど)認定だったので、希望者が減っており、医師不足が問題になりそうな地方の国立大学なら、割とまともに判定してくれるだろう、と言われましたっけ。