とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

生産性ってなんだろう

急にお休みになった先週の金曜日。
子虫と映画に行ったり、ベトナム料理食べたりと楽しく過ごしたのですが、後で聞いたら、またもやDr.面倒くさ男がやらかしてくれて、大変だったらしい。
なんでも息子さんがスポーツ大会で勝ったので、応援に行くためとかなんとか言って、急に休みを取ったのだと。
スポーツ大会の日程くらいあらかじめわかっているのだから、最初から休みを取っておけば良いものを、私を無理やり休みにした挙句、思いついたように自分も休むって。。。

いざとなったら私を呼び出せば良いとでも思ってたのだろうか?
確かに呼ばれたら、出勤はしたと思う。
(だってそうしないと、予定の患者さん全員往診し終われませんもの)
けど、いい気持ちはしなかっただろうな。
結局、非常勤の先生が穴埋めしてくださったそうな。
何を考えているのだろう、この医者。
普通の勤め人でも、非常識な行動だと思うのだけれど。
あまり関わりにならないようにしよう、と思うのでした。

さて、院長不在となって一ヶ月半。
通常の診療は、非常勤の先生や、私およびDr.面倒くさ男でもなんとかなるのですが、日々紹介される新患の診察と評価、治療方針、ついでに在宅診療とは何か?に始まって、どんなサービスを提供できるかについての説明は、奥が深すぎてそう簡単には出来るものではありませぬ。
その上、院長はクリニックのポリシーとして、紹介されたら断らない、を自分が不在時も貫きたい。
そんな状況を、さくっと格好良く救ってくれているのが、院長と入れ替わりにやってきたDr.在宅。
前から院長がお誘いしてて、やっとこの度、常勤になった。
むしろ、この方が常勤になってくれたので、院長も思い切ってクリニックを空ける決心がついたのではないか、と密かに思ってます。

大学卒業後、一貫して在宅診療をされてきた、ばりばりの専門家です。
数年前までは、同じく在宅を専門にしている旦那さんと離島でお仕事されてましたが、子供さんの進学の為、本土に上がって来てます。

二、三年前にはうちのクリニックで常勤をされていたそう。
今回、また戻ってくるまでは別の病院にいました。
そこの病院で彼女が研鑽を積みたい、と思っている漢方による治療法の勉強が出来たから、というのが理由だそうです。

じゃあ、なんでわざわざまたこちらに戻ってくることになったのか?
聞いてみたら、そこの病院がこのほど電子カルテを導入したから、とのこと。
最近は国のIT化推進の一環として、電子カルテを導入する病院が増えています。
今時の学生さんや研修医の先生は、逆に、紙カルテを使ったことがない、という人も。

ワタシなんか、入局当時はドイツ語記載でしたからね、時代も変わったものです。
すこし上の世代の先生方の中には、電子カルテがどうしても使えずに、入力補助員がつかないと診療できないという方もおられます*。

さて、Dr.在宅は私よりすこし年下で、まあ言ってみれば同世代。
もちろん、電子カルテの入力ごときで、業務に支障をきたすことはありません。
ただ、彼女の勤務する病院では、在宅部門専用の電子カルテシステムは導入しなかった。
多分、費用がかかりすぎるから。
おかげで、毎日の診療の後で病院に戻ってから、その日診察した患者さんの情報を全部、病院の電子カルテに転記しないといけなくなってしまったそうです。
そして、医者というのは病院のある意味、備品**のように思われている部分があり、下手に病院にいると『先生〜ちょっと指示確認いいですかぁ?』に始まり、ひどい時には、全然関係ないのに、『ちょっと診てもらえませんか〜』がやってきます。
そして、どんどんお家が遠くなる状態。
おかげで、帰宅時間が大幅に遅くなるようになってしまいました。

電子カルテって、業務の無駄を減らして生産性を上げるために開発されたものだと思うのだけど、そのせいで残業が増えて、なんのための導入なのだろう?と思わされる事態です。

彼女の同業者であるご主人は、五月より海外に赴任中。
受験生を抱えるシングルマザー状態となったため、さすがに、ワンオペはもう無理、ということで、もう少し早く帰宅できる我がクリニックへ転職、と相成ったのでした。

私たちにとっては、ありがたい事態ですが、優秀でやる気もあるドクターを、むざむざ無駄遣いした挙げ句、失うことになった前の病院。
電子カルテ導入時に、勤務時間の見直しとか、調整とか、できることはたくさんあったはずなのに、結局、仕事の出来る職員を逃すことに。
こういう、しょうもない病院はたくさんあります。
こんな無駄な業務で疲弊した医師達が、八つ当たりのように家庭のある女性医師をバッシングするのか、と思うとやり切れませんわ。



電子カルテ入力*
部長、院長、理事長などの偉い方ほど、IT化について行けないのは、どこの業界でも同じでしょうね。
電子カルテについては、入力補助員という業務があって、そう言ったおじさま達の日々の診療を支えています。
以前勤めていた病院では、その院長づき補助員さんが、ある日子供の熱発で休んでしまい、院長外来がおかげで、突然休診となった、という笑えない話がありましたっけ。
その後、院長づき補助員は2名に増やされてました。。。


備品扱い**
また別の病院での話。
その病院は全館禁煙の標榜をしていたのですが、本館の外に”備品置き場”というフダのつけられた倉庫がありまして、そこは倉庫なのに、なぜか電話回線が二本も引かれていたのでした。