とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

イタリア版大阪のおばちゃん

四月の初め、トリノに行って参りました。
トリノ、イタリアの北にある都市です。
2006年に冬季オリンピックが開催された街でもあります。
今は、国内でも有数の観光地となっているそうな。

イタリアは治安がイマイチな国と言われていますが、例外的に(?)治安も良く、無防備な日本人がほけっ〜と歩いていても無事でございました(個人感想)。

トランジットや、早めの到着、待ち時間などなどの、飛行機に実質乗っている以外の時間も含めれば、総時間は約24時間。
ほぼ1日かけて、母の旧友に会いに行く旅でした。

道中、高齢の母が心配でしたが、意外にも大した時差ボケもなく(年寄りは途切れ途切れに睡眠をとるので、時差ボケになりにくい?)、結論として一番元気だった母。
そして、ホテルに会いに来てくれた友人(齡82歳)のお婆ちゃんの元気なこと、元気なこと。

とにかく、延々と喋る、喋る。
元気、元気、とにかく止まらない。
そして、めちゃくちゃ親切。
飴ちゃんこそくれませんでしたが、この雰囲気、まさに大阪のおばちゃん。

もうね、この人に会いに、そしてパワーをもらうためだけに、またイタリア行きたいっっ、て思うくらい元気で、すてきなお婆さまでした。

着いた初日は、夜遅かったので早々に寝床に入った私たち。
午前中は、現金を入手するためにのATMへ。
ついでに、ミラノにあるプラダ美術館を観に行きたい、という娘の希望でミラノ行きの列車チケットを購入。
と、思ったら、なぜかカードが使えない。

なんでっ????

焦る焦る。
おまけに、母は母でカードの暗証番号を忘れてて、母のカードは使えず。

あとでわかったことでしたが、ATMによっては、そして使うカードによっては受け付けないことがあるらしい。
受付可能なカードリストに載っていても、機械がボケで使えないことがある。(実は、これが一番多い気がする)
そして同じような事は、自動券売機でも起こるのでした。
なので一つのATMや券売機で駄目出しされても、めげずに他を当たるとうまく行く。
これが、イタリア標準。

でも、それ知らないと慌てますよね、普通。
日本では、あんまり無いことだもん。

なんだかんだで、午前中一杯、費やしてしまい、げんなりしたので、気分直しにカフェへ。
こちらのコーヒーはエスプレッソ、が、デフォルトです。
『コーヒーください』
というとエスプレッソが出てくる。
アメリカン・コーヒーを頼んでも、やっぱり小さなカップに入れられた濃いコーヒーが。
『ええっ、変わらんじゃんっ』
と、思いきや、そこにお湯の入ったカップがついてくる。
つまり、カップのお湯で薄めてね、という事らしい。

カフェでお茶した後は、母が『くたびれた』とホテルへ。
午後1時に、ホテルで旧友と待ち合わせです。

私たちは、それまでの時間、街を散策しついでに観光でもしようか、と思ったのですが、行ってみたい、と思った王立図書館は路面電車で20分、とある。
待ち時間を考えたら、往復だけで小一時間かかりそうです。
場所を探し当てて、見学する時間も考えると、母のお友達との待ち合わせには間に合いそうもない。

それで、諦めて近所のスーパーマーケット(らしき店)に水を手に入れにく。
水道の水が気楽に飲めるのは、日本くらいです。
大抵の国では、水は買うもの。
そしてかの地では、どうも空気が乾燥しているせいか、やけに喉が乾きます。
大きめのペットボトルで買って、毎日小分けにして持ち運びました。

途中、街のあちこちにあるジェラート屋さんのジェラートを買ったりなんだりしているうちに、もう待ち合わせの時間。
慌ててホテルに戻り、ロビーで待つことしばし。
ベージュのコートに身を包んだ、一人のお婆ちゃまがやってきました。

当時の写真を見ると、母よりは優に10cmは背の高い方でしたが、今は縮んで随分小柄になっています。
髪も、真っ白。
でも、それ以外は変わっていない(母談)。
とにかく、良く話す、話す。
せっかく来たんだから、街を案内しよう、どこに行きたいか?
それほど大きな街ではないが、良いものがあるぞ。
ここは、どうだ?
こっちは、どうだ?
と、ノンストップでひたすら喋ってます。

『この感じ、、、大阪のおばちゃんやわ、、』
と娘がつぶやく。

『お昼は、どうしますか?』
とたずねると、
『私はいらないが、お腹が空いているならピザ屋さんに行こうか?イタリアのビザは美味しいぞ。この辺りは高いから、やめたほうがいいが』
とアドバイスが。
私たちも、先刻食べたジェラートがまだ残っていたし、時差ボケもあっていまいちお腹が落ち着かないので、もうお昼は後回しに、偉大なるイタリア版大阪のおばちゃんの案内で街を散策することに。

さて、近年彼女も母も難聴が酷くなり、どちらも補聴器がないと聞こえない。
困ったことに、どちらも左耳に補聴器が入っている。
向かい合わせで話しているときは、良いのですが、並んで歩くとちょっとした問題が生じてしまいました。
お互い、よりよく聞こえるようにと、オババ同士でポジション争いが起こる。
結局、私の母が譲って右側に立ったのですが、やっぱり習慣で左に立ちたがる。

お互い髪も真っ白になり、小さく縮んだ(母は元々小さいのですが)お婆さんが二人、頭を付き合わせるようにしてよたよたと街中を進みます。
その歩みは遅い、けれど、決して止まることなく、着々と進む。
元気なザ・お婆ズです。

私たちは、その周りをついて歩く。
ここに来て、ほぼ”うっかり八兵衛”状態だった息子が、意外にもエスコートを買って出て、お婆ズのそばを付き従ってくれました。
婆ちゃん・爺ちゃん子だからね。
でも、ぼーっと歩いていたら悪名高きミサンガ売り(*)にミサンガを巻かれそうになり、姉が目敏く気づいて振り払ったのですが、日本人と見てしつこく付きまとうのを、イタリアのおババ様がびしっと追い払ってくれました。
お〜い、しっかりしろよ〜。

そうして、トリノ初日は過ぎていったのでした。

To be continue、、、、



けっきょく、歩いて王立図書館へ。
お婆ズは、歩き通しただけでなく、道中ずっと喋ってました。
おそるべし、戦前生まれ。


(*)ミサンガ売り:
”イタリア旅行”、”ミサンガ売り”で検索すると出てきます。
ローマあたりでは、かなり悪質な押し売りらしい。
でも、トリノでは割と大人しく引き下がってくれました。
そして雨の日は、傘売りになってました。