とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

依存症 脳科学が探る治療法〜を読んで

ちょっと気になるタイトルだったので、読んでみました。

念のため、断っておきますが、別にアルコール依存とか、そういうのはないのですよ。
もちろん、仕事中毒でもないし。

さて依存症とは何か。
その定義も変わってきているそうです。
30年前の教科書では「依存症とは、使用するうちに徐々に耐性がつくため、効果を感じるにはどんどん使用量を増やさねばならず、使用を中止すると堪え難い離脱症状(禁断症状)が起きる部室への依存」であったそうです。
でも、それでは、アルコールなどの限られた薬物にしか当てはまらず、また「依存症のもっとも厄介な側面ともいうべき「再発」を説明できない」ためだそうです。
かといって、まだ新しい定義というべきものはなさそうです。

そして、依存症は道徳心の欠如や、本人の自覚や努力が足りないわけではなくて、病気、なのだそうです。

さて、その依存症ですが、
「依存症の特徴は生活破壊を招いてまで、特定の行為を繰り返す強い症状」にあります。

だから、アルコールや薬物のように身体に直接作用するものだけでなく、ギャンブルや、買い物、ゲームなどの現代人を取り巻く誘惑も依存症を引き起こすと考えられます。
「こうした誘惑は、人間の脳の回路「報酬系」に強い影響を及ぼすから」です。

そして「依存症者の脳内では、要求、習慣の形成、快楽、学習、感情の制御、認知に関わる神経ネットワークとその働きが妨げられている」のだそう。
その結果「依存症に陥ると、神経回路が変わって、薬物やアルコールを最優先するようになってしまう」のです。

怖いことに、「依存症のなると、意識に上らない刺激でも報酬系のスイッチが入る」のだそう。
依存症患者は、何がきっかけかわからないうちに、報酬系のスイッチが入ってしまって、再発してしまうのです。

ところで、依存症の一つとして、行動嗜癖、という概念があるそうです。

ギャンブル依存やスマートフォン、ゲーム依存、仕事中毒などがここに入るそう。
実は前から気になっていたのですが、活字中毒も行動嗜癖の一種なんじゃないかと思うのです。

でも、活字中毒は、ギャンブルや買い物中毒のように他の行動嗜癖と比べて、あまり困った行動には結びつかない。
むしろ、情報を手に入れやすい、知識を身につけやすい、という利点の方が多いから、治療すべき依存症とはならない。
本に夢中になって生活に支障が出るとか、恋人や友人との関係がうまく行かない、となるとまた話は別なのでしょうけど。

例えば活字中毒のように、どちらかというと有益な行動嗜癖もあると思うのですが、そういう有益な行動嗜癖については、書かれてませんでした。
あくまでも、治療についての特集だったので、対象となるのは困った方の行動嗜癖です。

今回の特集では、「人間の脳の前頭前皮質にある行動の抑制に関わる領域を刺激すれば、薬物を求める激しい衝動を抑えられる」可能性を利用して開発された治療法について述べられていました。
その治療法なら、間違った脳の報酬回路を修正できるそうです。

依存症になりやすい人の、困ったことへの依存を修正できて、利点となる行動への依存は消さない治療法であれば理想的な治療法と言えそうです。

この治療法は、まだ、治療後の経過や副作用について追試が必要な開発段階の治療法ですが、将来に期待できそうな治療法だと思いました。

今回の特集では、治療法の話以外に、出産前にお母さんのお腹の中で薬物中毒にされてしまった子供達の治療について書かれていました。
生まれながらに薬物中毒になっている赤ちゃんたち。
アメリカには年間300人も治療されているそうです。
怖い話です。