とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

ジュラシックワールド〜炎の王国

鹿児島中央駅の駅ビルの映画館に、IMAXとか言うのが入った。
なんでも、音響とか映像に凝っていて、これまでにない臨場感のある映画が楽しめるらしい。
臨場感のある映画館といえば、姶良のイオンには、映画の進行に合わせて椅子が動いたり、場面によっては匂いが漂ってきたり(*1)する映画館があるそうですが、そこまではないけど、やっぱり凄い、らしい。

そう言うのが大好きなおじさんが、早速ジュラシックワールドを観に行こう、とせがむので、行ってまいりました。

本当は、ハン・ソロとどっちにしようか迷ったんですけどね。
おじさんはIMAXで観たいだけなので、選択肢は私にくれましたの。
片や、ネットでは大ゴケだと評判のハン・ソロ
ストーリーも月並みらしい。
だいたい、ハリソン・フォードハン・ソロも、そこまで好きじゃないしな。
それよりは、前作で11cmくらいありそうなピンヒールのまんま、島を6Km近く縦断した挙句、最後は松明持ってT-rexと短距離レースしちゃったお姉さんが、再び出てくる、と言うジュラシックワールドの方が、楽しいかも、と思ったのでそっちにしちゃいました。

ええ、予想に違わず、面白かったです。
以下、例によってネタバレ満載ですので、そう言うのがお嫌いな方はご注意を。





一雨降ってさっぱりしたと思ったら、またこれだよ。
もう勘弁してほしい。。。。



さて前回、ピンヒールで、島中を縦横無尽に走り回り、実はこの人こそが最強なんじゃないか、と言う疑惑のお姉さん、ことクレア・ディアリング、今回はヘンテコな前下がり赤毛ボブからナチュラルなブロンドのポニーテールになってて、やっぱり元気に走り回ってました。
今回は、現実的なワークブーツでしたけどね。
やっぱり、はだけそうでハラハラ(と言うかイライラ)するタンクトップとシャツ前あけ状態でしたけど。
(ボタンはちゃんと締めてたほうが、活動しやすいよ?)

スピルバーグの女性キャラの扱いは、内田樹アメリカン・ミソジニー説(*2)を読むまでもなく、モテない男の子の恨み含妄想系キャラそのものだと、私は思う。
とにかくキャーキャー叫んで、パニック度を煽ってるか、肝心のところでヒーローの足引っ張って、より緊迫度を煽ってるか、のどちらかです。
どれだけ役のキャラ設定が、強気の女性探検家だろうが、知的な博士だろうが、謎の美少女だろうが、み〜んないっしょ。
画一的だし、あまりにもアホ丸出しだし。

ま、そこわかってても、やっぱり映像とか展開とか、迫力あるしテンポいいし。そこは才能だと思う。
だからつい、観ちゃうんですよね、スピルバーグ

さてストーリーは、例のパニック騒ぎから三年後。

プロローグで、前回、モササウルスに海に引きずり込まれたインドミナスの骨から、サンプルを回収しようとする怪しげな男たちが出て来ます。
海の底にはインドミナスの骨。
てっきり、モササウルスに美味しくいただかれてしまって、う◯こになってしまった、とばかり思ってたのですが、ちゃんと標本のような綺麗な形で骨が残ってました。
ってことは、食べられたんじゃなかったのかぁ。

そして恐竜に占拠された島は、噴火活動が活発になり、恐竜たちは絶滅の危機瀕しています。
恐竜たちを救おうとNPOを立ち上げたクレアは、持ち前のリーダーシップと交渉力を生かして、相変わらず元気に活動中。
しかし、世の意見は『このまま、絶滅させちゃおうよ』の方が優勢でした。

そこへ、かつてのジュラシック・パーク創立者ハモンドのビジネスパートナーだったベンジャミン・ロックウッドとその財団を管理するイーライ・ミルズから、クレアに個人的に打診があります。

島の恐竜を、極秘に救出したいので協力してもらえないか?
と言うもの。
恐竜たちが安心して暮らせる土地を確保してあるから、と言う話です。
このあたりで、もうすでに怪しい感が漂っていますが、ロックウッドの豪邸には、秘密の地下実験室がありそうだし、存在自体が公でなさそうな、ロックウッドの孫娘がいたりと、怪しさ満載。
さらに、救出したい恐竜にラプトルのブルーが入っている、とミルズが言い出すにいたって、これは絶対、何か良からぬことが計画されてるよな。

それでも、恐竜たちを救うため話に乗るクレア。
ブルーの育ての親であるオーウェンを誘いに行きます。
やっぱりと言うか、なんと言うか、前作であんなにいい感じだったのに、この二人、もう別れてました。
相性って、難しいものよね。

最初はごねた割に、サクッと参加するオーウェン
さらに、情報担当のフランクリンと古生物獣医(そんな分野があるとは驚)のジアがクルーに参加します。

思うに、ハリウッドに限らず、あちらの娯楽映画やドラマシリーズにはキャスティング・コードみたいなものが、絶対存在すると思う。
ヒーロー戦隊モノやアクションものってもともと、キャラの分担ってあるじゃないですか。
情熱担当、知性担当、息抜きのコメディ担当、お色気担当みたいなの。
最近は、女子も一人じゃなくて二人のことが多いですね。
さて、さらに加えてハリウッドでは人種のキャスティングコードもあると思うの。
いわゆるクォーター制ってやつですね。
ヒーローは白人の男性で決まりとして、そのお相手も必然的に(舞台設定上必要があれば別だけど)白人の女性。
白人男性に、黒人女性やアジア系女性が絡むことは滅多にない気がする(*2)
後の知性担当と、息抜きコメディ担当は兼用もできるので、二人から3人キャスティングするとして、黒人、アジア人、女性あるいはその他のマイノリティ。
と言う具合。
そのキャスティングに時代性が見える気がして、私は気になる。

今回、知性&息抜き担当はインド系とプエルトリコ系でした。
IT担当がインド系の俳優さん。
IT担当は、ひと昔(?)前だったら、日本、中国、韓国あたりの東アジア系だったと思うの。
今やインドはIT立国だし、インド人は数学できるって評判だし、知的なインド人ってイメージ良いし、何よりインド系を起用すれば、黒人枠も埋まるし、ってキャスティング担当者が考えてるかどうかは、知りませんけど。
前回のジュラシックパークでも、パークの設立者はインド系だったしな。
プエルトリコ系の俳優さんも、最近多い気がする。
特に、今回の女優さんは見ようによってはちょっとアジア人ぽくも見える気もするので、色々、混ぜてますって感じに按配されてたのかな、なんて思ったりしてね。

さてストーリーは早速、ブルーを回収しに行くくだりで、一悶着。
ここで、案の定、クレアたちがいいように利用されていたことがわかります。
ジュラシック・パーク公開時からのスタッフ、ウー博士によって、ブルーとインドミナスの遺伝子からさらにハイブリッドな、インドラプトル(この安易な命名法!)が作成されていたのです。
そして、インドラプトルを手なずけるためにブルーが必要、なのでした。
お母さんだからか?
しかしインドミナスには、いいようにパシリ扱いされてなかったっけ?

置いてきぼりにされる、クレアたち。
迫り来る溶岩と噴石。
そしてパニックになって逃げ惑う恐竜たち。
3Dメガネで、迫力満点。
音も前後左右から大音響で、臨場感たっぷり。
予定外に活発化した噴火で、急ぎ島を離れるロックウッド財団のスタッフたち。
どさくさに紛れて、クレアたちもかろうじて船に乗り込む。
後に置いていかれた首長竜が、悲しげに桟橋で吠えてます。
似たようなシーンが、シュレックにもあったような気が、、、。

さて、船の中でも、クレアたちは大忙し。
乗組員に見つからないように、逃げ隠れしつつ、回収の過程で撃たれて瀕死の重傷を負ったブルーを助けるために、T-rexから血液を採取して輸血したりしてる。
ナントカ属同士だからいいのだ、と獣医のジアが言ってましたけど、そうなの?
でも、もうこの話の頃には、恐竜たちも長いこと現代に生息しているわけだし、パークでもワールドでも飼われていた、と言うことは、飼育係も治療をする獣医さん(竜医さん?)的な人もいるはずなので、ある程度、治療経験も知識も蓄積されているのかもしれません。

相変わらず、銃弾ひとつ、つまみ出して
『さあ、これでもう大丈夫』
とか言っている獣医ジア。
もうね、こう言う安易な展開、やめてよっ。
手術はね、後の管理が一番大事なのよっ。

さて、クレアたちが、迫り来る溶岩や噴石に右往左往している間、着々と積み込まれていた恐竜たちは、実は、やっぱりオークションにかけられる運命にあったのでした。
世界中から集められた富豪や軍事関係の人々。

屋敷に住んでいるのは、主人で長いこと病気を患っている(どうやら末期ガンらしい)とその孫娘メイジーと、ロックウッド家に古くから使える家政婦だけ。
そして、悪役ミルズ。
メイジーは、屋敷の地下に作られた秘密の実験室に潜り込み、ミルズの計画を知ります。
主人であるお爺様にミルズの仕業を告げるメイジー
しかし、ロックウッドはあっさりミルズに殺されてしまいます。
際どいところで、逃げ出すメイジー
この辺は、恐竜が走り回るアドベンチャーものと雰囲気が変わって、ゴッシクホラー風。

さてクレアたちも一旦捕まったものの、無事、脱走。
逃げ回っているうちに、メイジーと出会います。
やたらと秘密扱いされてるから、そうじゃないかと思ってましたが、メイジーはロックウッドの亡くなった娘から採取したDNAで生まれたクローンでした。
そして、初対面にも関わらず、妙にオーウェンに懐いているメイジー
いくら、事前に録画でブルーたちを育てているオーウェンの姿を見たからって、安易すぎないか?
世間から隔離して育てられた、存在自体が非合法な美少女と、情に脆そうなおっさんとその恋人未満のお姉さん。
別の意味で、怪しい展開になっていきそうです。
いえいえ、これはお気楽エンターテイメントなのでね、お3人さんにはひたすら、恐竜と戦って(と言うか、逃げ惑って)もらってます。

お約束の騒動が起きて、恐竜たちが逃げ出し、パニック状態の屋敷。
同じく逃げ出したインドラプトルを、ブルーとともに倒したオーウェンとクレア。
地下では、非常用に用意されていた(と思しい)青酸ガスが放出され、恐竜たちが死に瀕しています。
ゲートを開けて恐竜たちを逃がすか、逡巡するクレア。
苦悩の末、人類の安全のために、恐竜たちを見殺しにすることにしたクレア。
ところが、メイジーがちゃっかりゲートを開けちゃいます。
同じクローン同士だから、とかなんとか言ってますけど、そう言う問題だったっけ?

どのみち、オープニングのシーンで、サンプルを回収しにきたクルーたちが逃げ出す時に、水門を開けっ放しにしてて、水棲恐竜たちが逃げ出してたのは、明らかだし、そもそも羽のある恐竜は、とっくに島を脱出してたし。

ジェフ・ゴールドプラム演じるマルコム博士が、
『もう恐竜たちが、(島を出て)世界に放たれてしまったことだし、共存するしかないんじゃないの。ようこそジュラシック・ワールドへ』
と言って締めくくる最後は、今の難民問題で揺れる欧米社会に言い聞かせているような気が、しなくもない、と思ったのでした。

さて、これで終わりかと思ったら、最終回が2021年に公開予定だそうです。
観に行ってしまうのだろうな、きっと。

ところで、現実問題として、活動が活発な火山のそばに行くのは全然オススメしない、と一歩外に出て思うのでした。


現実は、ほら、これだから



(*1):シンゴジラを観に行った人によると、なかなかの迫力だそうです。でもって、石原さとみが出てくるシーンでは、いい匂いがしてきたそうです。

(*2)内田樹 『映画の構造分析』. (晶文社、2003年)

(*3):007シリーズのジェイムズ・ボンドさんは、浜美枝とかミッシェル・ヨーとかハル・ベリーとくっついてますけど。あの人はね、ほら、見境なしだから。