とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

尊厳死協会 ファシリテーター養成講座 続き


佐賀県武雄温泉まで、新幹線とローカル線とタクシーを乗り継いで、行ってまいりました尊厳死協会の講習会。

初日は、座学とワークショップ。
翌日はグループワーク、と言うプログラムでした。
座るところは、グループ毎に決まっていて、私のグループは弁護士さんと教育学の教授と、あと県庁の方、ホスピスの院長先生と、訪問看護師さん。
なかなかに多職種にばらけた、楽しいグループでした。

全体の参加者は多職種を唄いながらも、結局は、医療従事者がほとんどで、医師が全体の半分、あとは看護職、ケア・マネージャー。
他の職種の方は、弁護士さん、僧職の方、その他行政職、教育関係者、NPO法人代表者(本人はただの専業主婦と名乗ってましたけど、だいぶ違うよね)。

多くは真剣に、患者さんの最期をどうするか、について問題意識を持って参加してきた方達でしたが、中には、私のように上から言われて、とか、主催者に個人的に誘われて『何をするのかよくわからないままに』参加したアウエイな人も。

座学は、なんとなく聞き流しちゃった。
だって、普段真面目にやっている医療機関だったら、言われんでもやっとるわい、と言うような内容だったのだもの。
(不遜ですみません)
ただ、宮崎大学の臨床倫理部の先生のお話は、その語り口のうまさもあって面白かった。
例えば
例1:末期がんで、『もう延命処置はしないでください』と明言していた患者さんが、検査中に心肺停止になったらどうする?
とか、
例2:同じく末期がんで、やっぱり、積極的治療は望まないと言っていたものの、告知後にうつ病になっちゃって、ビルから飛び降りた患者さんの治療はどうする?
とか
今までだったら、しのごの言わず救命していたんだけど、はて、尊厳死とかリビングウイルとかを知っちゃうと、かえって、あれ、どうすればいいんだっけ?
と言うような場合。

答えは、ちなみにどちらも積極的に救命する。
なのでした。
例1)では、予期してなかった急変なので、蘇生処置をして良い。
例2)では自殺企図自体が病気(治療ないし対処を必要とする状態)なので、健全な状態での行動ではない、と判断して蘇生処置をして良い。

改まって問われると、ちょっと迷いそうなので、はっきり指針が出てるのはありがたい。

終わりの方で『死への旅立ち』と言う体験もの、がありました。
これは、あらかじめ自分にとって大切なものを、五色の付箋五枚の計25枚に記入しておいて、ナレーションを聞きながら、ナレーターの指示に従って、要所要所で捨てていく、と言うもの。
ナレーションの内容は、当然ですが
“がん末期と診断されて手術はしたけど、治癒できずに徐々に死んでいく私、をイメージする”
と言うもの。
今までも、”悪いニュースの伝え方”のロールプレイ講習などに参加したことがあるので、この手のは初めてではないけど、やっぱり気持ちの良いものでは、ありません。
隣の若い女性は、終わった後見たら涙ぐんでたし。
これを安易にやるのは如何なものか、と思いました。

さて、捨てていくものの順番、と言うのは人によってずいぶん違う。
最後まで残るのは、大抵の人の場合家族なんだけど、その中でも、配偶者か、子供か、親かは迷うみたい。
他には、友達だったり女子会が残ってた、と言う人も。
子供は割と早い段階で、捨てられてますな。
ただ、複数子供がいる人は、捨てる順番が決められないので、複数枚捨てるように指示された時に、まとめて捨てた、と言ってました。
私も『二枚捨ててください』の指示のときに、この先も同じ指示が出るかわからんから、と捨てた気がする。
あとは現実的に介護を頼めるのは相方かな、と思ったのでかなり最後まで残してたな。

死への旅立ちを経験して、落ち込んだ気持ちを上げるために、最後は輪になって歌を歌います。
ハレルヤをひたすら輪唱しながら、手を繋いでぐるぐる回る、というもの。
プロの歌手の方が指導してくれるのだけど、なんか、これもちょっとね。
変な宗教団体を間違われないか、余計な心配をしてしまう。
『鳥肌が立つような体験でした(感動)』みたいな感想を述べている参加者を見ると、『おいおい、大丈夫か?』と思ったりして。
これで、落ち込んだ気持ちが癒されたかどうか、そもそも落ち込まなかったので、効果のほどは不明です。
泣いてたお姉さんも、勝手に自分で立ち直ってたようで、歌の時は冷めた感じで参加してたし。

先日、参加させられた舅の法事を思い出しました。
”輪になってぐるぐる”というのは、参加者に宗教的な体験をさせるのに適した行為なのかもしれないな、などと思ったりしました。

この後、飲めや歌えやの懇親会があって、翌日は『ACPを広めるためには、どのようにしたら良いか』と、『意思表示ができない人のリビングウイルをどのように作るか』についてグループ内で話し合うワークショップ。

設問が曖昧すぎてよくわからない上に、先日講演した先生方はほぼほぼ帰ってしまっていて、導いてくれる人もいない状態。
その割には、みなさん、大人な回答をしてました。

結論。

なるほど、うちの上司が私に押し付けた理由だけは、わかった。
リビングウイルとか、ACPとか、言葉はかっこいいけど、何をしたいのか、何をしたらいいのか、講習会を受けてもやっぱりよくわからない、という研修会でした。
あんまり、協会の活動を支えようとか担っていこう、という気持ちにもならなかったし。

物わかりが悪くてすみません。

帰りのタクシーで、運転手さんと話をしたけど、
尊厳死協会』ですか?、さあ、聞いたことないなぁ。。。
どんな字を書くんですか?
あ、まさか『きょうかい』って、『教会』の方じゃないですよね。
宗教、関係ないですよね?
リビングウイル?
ああ、わかった。
あれでしょ、インテリア関係?
って言われちゃいましたしね。

そんなものなんだな。