とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

yahooの記事で思うこと



先日のyahooのニュースサイトに掲載されていました。
headlines.yahoo.co.jp


介護付き有料老人ホームに入居中のお年寄りが亡くなって、十日あまり気づかれずにいた、と言うもの。
この一件の具体的な事情は一切知らないので、記事で読む限りでの感想になりますが、やるせないと言うか、しっくりこないものを感じました。

最近は、こうした施設に入ることを決める高齢者は少なくない、と思います。
うちの母も、『足腰が弱って思うように出歩けなくなったら子供の世話になるより施設に入る』と常々言っている。
確かに長女は鹿児島在住で、母にとっては友達もいないし、言葉も通じない異国も同然の土地。
次女は東京在住だけど、同居のできるほどのスペースはありませんし、そもそも母は母で長いこと一人暮らしで自分のペースで暮らすことに慣れているので、とてもじゃないけど同居できるとは思えない。
だから、状況によっては施設もありかな、と私たちも思ってはいる。
その場合の施設に入るメリットとは、ズバリ安否確認、だと思っています。
別に少しでも長生きできるように事細かくケアをしてほしいと言うわけではありません。
運動機能の衰えたお年寄りは、ちょっとした転倒でも簡単に骨折してしまうし、そこから寝たきり、痴呆、廃用症候群への道はあっという間、と言うのもよく知っています。
だから、転んだときは転んだ時。
ボケたときはボケた時。
嚥下機能が落ちて、誤嚥性肺炎で亡くなるもの寿命のうち。

だけど、亡くなって何日も誰にも気づかれない、と言う状況は避けたい。
そうなって、残された家族に辛い思いをさせたり、迷惑をかけたりしてくない。
誰しもそう思うから、わざわざ住み慣れた我が家を処分してでも施設に入るのではないでしょうか。
施設なら誰かしらいるから、一人でひっそりと亡くなっていてもせめて次の日くらいには見つけてもらえる、と思ってはいるのではないでしょうか。
少なくとも、私は老人ホームに入る目的の一つはそれだと思っていました。
介護付きなら、多少体に不自由が生じても自分一人で生きられる、それが期待できるところだからこそ、普通のアパートよりも格段に高い家賃と使用料を納め、今まで住んでいたところと比べれば、収納もないしスペースも限られた面白みもない部屋に暮らすことを選ぶのだと思います。

実際、訪問で訪れたことのある老人ホームやサービス付き高齢者住宅って、大概、収納はほとんどなくて服はハンガーラックにかけてむき出しのまま、ベッドと車椅子を置いたらもういっぱいの狭い部屋、トイレも個室についてなくて共同、と言うところも。
生活の場、と言うよりは、ちょっとアメニティのいい病室みたいな感じです。
先はどうかわからないけど、今の私は絶対入る気しないな。
もちろん、母にもあまり入ってほしいとは思わない。

それでもあえて入居するのは、近くに家族がいないとか、どうしても一緒に暮らせないとか、切実な事情があるから。
この事件のお年寄りも90代だったと言うことですから、自然の経過で亡くなられたのかもしれません。
亡くなった経過が問題なのではなくて、亡くなられてから十日近く、誰も気づかずに置かれていたことがやり切れません。
もしこの方が自宅にいたとしたら、90歳の独居老人なら民生員の訪問も受けられたでしょうし、介護保険を使ってヘルパーさんや訪問看護師の派遣を依頼することもできたはず。
そうした公的サービスを受けることで、独り暮らしでも亡くなってから何日も発見されない、などと言う事態は避けられたんじゃないか、と思うのです。

老人ホームをはじめとするいわゆる高齢者ビジネスには、時として、社会貢献よりも補助金や広告を目的としたものがあるのは確か。
建築会社が経営母体となっているところは、普通のアパートを建てるよりも入居者を集めやすいからとか、利用料が高めに設定できるとか、そんな理由で建ててたりする。
だから、入居者の本当の利益や、高齢者ケアを目的とした運営を考えてない。
そもそも、入居者がいつかは介護が必要になる人間だ、と言う認識を持っているのか?と疑問に思うことも。

別にね、そんな施設ばっかりだと言うわけではありませんよ。
本当にお年寄りを大事に思っているケアワーカーさんや施設長さんが運営しているところもたくさんあります。

だから、何が言いたかと言うと、施設ってやっぱり実際に行って運営状況をみないとダメなんだよね、と言うことでした。