とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

コロナウイルス感染拡大の今だからこそ、もう一度観たい映画

コロナウイルス感染騒ぎで、外出を控える人も沢山いるであろう週末。
私はと言うと、もとより引きこもり気質故、用事がなければ休日も家でNetfiixやAmazon prime三昧なので、あまり普段と変わらない週末を過ごしております。
今週末は二つほど、パンデミック物映画を観ておりました。

なかなか面白かったし、感染症が広がっていくと社会がどうなるのかが、なんとなくわかって勉強になったので、お勧めしたいと思います。





出典:Amazon

まずは『コンテイジョン
2011年の映画です。
SARS新型インフルエンザの後に作られた映画ですね。
監督はソダーバーグ。
この人は、たくさん人が出てきて場面がごちゃごちゃした話をまとめるのが、本当に上手だと思う。
別の映画ですが、アカデミーを取った『トラフィック』も好きな映画です。

SARSや、コロナウイルスのような感染症がどのように広がって、その結果、社会がどうなってしまうのかがテンポ良く描かれている。
そして、未知の感染症に対して人々がどう対処していくのか、アメリカのCDCの職員や、WHOの職員の働きを中心に話が進んでいきます。

仕事熱心なあまり、感染経路を突き止めようと、うっかり患者のプライヴァシーを漏らしてしまい、夫に妻の浮気を悟られちゃう若いCDCのお医者さん。

パンデミックがはっきりするや、ワクチンを優先的に手に入れるために、WHOの幹部職員を誘拐する現地職員。

最初の患者についての動画をネットで配信して、人々に警告した社会派ジャーナリストは、同じネット記事で荒稼ぎしつつ、効きもしない民間療法を広めてしまっても、いる。

部下の健康状態を、何より気遣う有能な上司は、一方で恋人に政府の極秘情報を流してこっそり助けようとする。

同じ人間の行動にある裏表が、さりげなく語られていて人間味がある。
そして普通の人々がパニックになって、社会がどんどん荒廃して行く様子は、ちょっと怖い。

登場する人たちは皆、それぞれ真面目に生きていて、職務にも熱心。
でもだからと言って、報われるわけじゃない。

感染予防のために寝食を惜しんで奮闘していた職員は、自らも感染してしまい、医療スタッフがストライキを起こしていた為に、必要な医療が受けられず亡くなります。

そして違法行為と知りつつ、興味と(多分出世への欲から)ウイルス培養を行う研究者や、開発されたばかりのワクチンを、自分に接種して最初の人体実験する医師は、結果として人類を救うわけだけど、一歩間違えば、やばいことしてるわけで、いや駄目でしょこれは。
と、言いたくなる部分もあったりして。

現実に、今起きていることと重ね合わせてみると、興味深いものがあります。

映画では、最終的に有効なワクチンが作られて、騒ぎは一年ほどかかって収束します。
ワクチンの配布ってこんな風にやるんですね。
勉強になりました。

最後にウイルスがどこからきたか、の謎解きっぽいシーンもあって、すっきり感もある。
やっぱソダーバーグ面白い。


続いては、『感染列島』。

出典:hatenadialy.com
こちらは邦画です。
2009年の作品。
コンテイジョンよりも前です。
新型インフルエンザの後かな?
調べたら、なんと新型インフルエンザ流行とほぼ同時期。
すごいな。

妻夫木聡が、救急病棟の若き医師に扮して頑張ってます。

何故か長野県を中心に、広まりはじめた謎の感染症
島国ということもあって、諸外国にはまだ波及してない設定です。

始めは鳥インフルエンザの新種と思われ、感染源を特定するために、患者が発生した近隣の養鶏所が検査の対象になります。

風評被害を受け、責任を感じて自殺してしまう養鶏場の経営者。
最初の感染者を診察した医者は、『僕が最初の患者をちゃんと診てたら(新型のウイルス感染と気付いてたら)こんなことにはならなかった』とずっと自責の念に駆られてる。

個人の力ではどうしようもないことまで、責任を感じてしまう辺りが、日本ぽいのかな。

監督さんの個性の違いもあるのでしょうが、アメリカの映画の方は、『感染症が蔓延するのは、もう誰のせいでもないし、この先の対策をどうしようか』という流れで、話が進んでいた印象があります。

日本では、誰かを犯人にして、その人が贖罪をする、という形にしたがるような気がする。
その方が、腑に落ちるという感じがあるというか。
私も日本人だから、そういう気質はどこかにあるかもしれない。

こちらの映画でも、患者がどんどん運び込まれて、学校や施設が閉鎖。人々は家に閉じこもり、物流が止まって、店から物がなくなり、やがれ暴動が起きたり、略奪が起きたりしてます。
あっという間に、人影が消えて荒れ果てた街の風景。

どちらかというと、病院での治療の様子がメインで話が進んでいく日本バージョン。

いろいろ突っ込みどころはあるけれど、治療にあたる人たちも隔離されて生活しなくてはならず、家族とも会えない状態になるとか、医療スタッフも次々と感染して、亡くなっていくとか、必要な治療器具を治りそうな患者に回すために、重症患者を切り捨てるとか。
実際の医療現場で同じことが行われるかな?とかなり異議を唱えたい部分も多々ありますけど、なかなかに、シビアな内容となっています。

限られた医療資源の状態では、患者の重症度や年齢に応じて振り分けられるような事態も、今後は起こり得るかもしれない。

感染が広まり異常事態となりWHOの職員が派遣されて、感染管理にあたります。
厚生労働省は出てこないな。
もう、あてにならないってことなのか。

こちらでもやっぱり、原因となっているウイルスの培養にてこずっています。
一攫千金狙いみたいな怪しい研究者に、違法で検体を渡してやっと培養に成功。

そんな研究者いるのか?

と言いたいけど、基礎研究に費やす予算がどんどん削られている昨今、本当に実験能力のある研究者が、食べていかれない状況になりつつある現在、あり得る話、かもしれない。
他の国の研究機関に、協力を要請しないあたりもいかにも日本らしい。

兎にも角にも、ウイルスが同定できて培養できれば、ワクチン生産まであと一息。。。。
なんて訳にはいかないのが、現実。

現実世界でもまだ、新型コロナウイルスに対するワクチンは、できてませんものね。
無事に作っても、人体に悪影響がないかとか、本当に有効か、とか、必要な量の生産を確保するとか、とか、とか、とか。
人々に行き渡るには、まだまだ時間がかかります。

それにワクチンは、まだ感染していない人にしか有効ではありません。

感染してしまった人は、ひたすら今まで通りの治療をして、治るのを待つしかない。

その辺をきちんと強調しているところは、良い、と思いました。

日本版でも、WHOの職員である医師が感染して亡くなります。
他にも、幼い子供を夫に託して、治療班に残った看護師さんも。
感染症の現場で働くってことは、自らも感染する危険を伴うってことがよく分かる。
でも、自分が感染しても軽症のうちは頑張って患者さんの治療しちゃってる医療者って、どうなのよ。

『感染列島』でも、『コンテイジョン』でも、原因はコウモリです。
開発により住処を奪われたコウモリ達が、豚小屋に住み着き、もともとコウモリにいたウイルスが、豚を介して人間に感染するウイルスに変異した、というストーリー。

日本版では、日本に輸出する海老の養殖のために開発が進んだ南洋の架空の島で、感染症が広まり、村が全滅。
島で治療にあたっていた日本人医師が、感染したまま帰国して、ウイルスを撒いてしまったのでした。

おまけに、その後現地に戻って発病&そのまま亡くなってしまってます。
医者のくせに駄目だろう、それ、と思いますが、未開の離島ゆえ、日本で何が起きていたかを知らなかった、という設定なのかな。

どちらも、無自覚な患者が、症状がまだほとんどない状態の時に、不用意に持ち帰ったウイルスが、あっという間に広まってしまう、という経過がよくわかって、現実世界で起きていることと重ね合わせると、勉強になる、と思います。

外出の予定もなくなんとなく暇な日々、どうせ観るなら、感染症について理解を深めるためにも、観て損はない映画だ、と思ったのでした。

ただ、医療物映画の関係上、血液が飛び散るようなシーンもあるので、そういうのが苦手な人とか、小さいお子さんには注意が必要だと思います。

どちらの映画も、Amazonプライムで。