とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

エナジードリンクは、絶対、やめたほうが良いという話

今週もお当番&日勤の週末。
診療に出る前に、うっかりスマホを医局に置き忘れてしまいました。

気が付いたのは、一軒目のお宅を辞した後のタクシーの中。
急な熱発で診察に行ったそこでは、感染症と脱水のため点滴をすることになりました。
100歳越えの患者さんの血管は、ほっそりと弱々しくて、細い針でも刺すとすぐに破けてしまう。
麻痺と拘縮もあるから、腕が程よい位置に保持できません。
同行の看護師さんと二人で、あちこち探して、何度か失敗して苦労して、やっとこ入ったのでした。
その時に、ポッケから落ちたのかしらん。
今からUターンして戻ると、この先の診療時間がどんどん遅くなる。

念のため、と看護師さんがクリニックに電話して、事務さんに確認してもらうと、
『医局のテーブルの上にありますよ〜』
とのこと。
ああ、良かった〜m(_ _"m)。

もうね、最近、こんなドジばっかり。
先週は銀行のキャッシュカードを無くしました。
それも、最後に見たのが月曜日で、無いのに気づいたのが金曜日、というテイタラク
あちこち電話しまくって、結局は見つからず。
ただ今、再発行待ちでございます。

看護師さんが、『疲れてるんですよ〜』
と慰めてくれました。
院長不在となって、とうとう九月。
先月末に帰ってきたものの、まだ週末のお当番関係は無理、ということで、今の所、主にワタクシが代行してます。
Dr.面倒くさ男は、そもそもやらないし、Dr.在宅専門は3人のお子さんがいる母でもあるので、週末はさすがに頼めません。

週日は普通に働いて、週末もお当番で呼ばれたり、電話相談を受けたりなので、確かにちょっと心が休めてないなぁ。

看護師さんも、先週は連続勤務ですごくすごく忙しかったとかで、モンスタードリンク(っていうのがあるんですかね)というエナジードリンクの話になった。
それを飲むと、何だか身体がポカポカしてきて、元気になった気がするそうです。
なので、先週はそれをほぼ連日飲んでいたとか。

いやいや、それはやばいでしょ!!

ドリンク剤に含まれているカフェインの過剰摂取で、若い人が亡くなったりしてニュースになったのは、もう過去のことなんでしょうかね。

みんな忘れちゃったのかな。

カフェインには興奮作用があるので、一時的に元気になった気になるのですが、飲み続けていると”慣れ”が生じて、いくら飲んでも、最初の頃の高揚感が得られなくなってきます。
すると、もう少し元気になりたいっ、とさらに飲んでしまったり、飲むことが習慣化してしまったりで、いつの間にかじわじわとカフェインの摂取量が増えてしまう。

そして、ある日突然、心臓が意に反してばくばくと暴走し始め、不整脈を引き起こす。

そこに至るまでに、食欲が落ちるとか、胃がムカムカするとか、寝つきが悪くなるとか、症状はあるのですが、それって、普通に、『疲れてるから』とか『ストレスかしら』と見過ごされがちな症状でもある。
若くて元気な人ほど、まさか自分が、とは思わないからついつい知らないうちに過剰摂取になってしまって、恐ろしいことになるのです。

その昔、まだドリンク剤のカフェイン中毒の危険性が、大きく言われていなかった頃のこと。
明け方、救急外来に若い男性が搬送されてきました。
到着時、すでに心室細動と呼ばれる危険な不整脈を起こしていました。
スタッフたちが、必死に心肺蘇生をしたけど、残念ながら戻ってくれませんでした。

倒れた時の様子をご家族に伺うと、朝、普通に朝ごはんを食べて出勤しようと準備していたところ、急に顔色が悪くなり、
『なんか気持ち悪い、、、、』
と言ったきり、突然倒れたそうです。

家族歴なし。
既往歴なし。
服薬歴なし。

当時は死因がわかりませんでした。
原因不明の不整脈死、ということになったのではなかったかな。
普通に元気な青年でした。
日々の仕事を頑張っている、三人の子供のお父さんでした。
あとから来たお母さんは、赤ちゃんを抱っこして、あと二人の子供たちの手を引いてました。真ん中の4歳くらいの子が、
『パパは、どこ?
パパはどうしたの?』
と聞くのに答えて、
『パパはね、今、治療を頑張っているからね。ここで座って待っててね』
と言ったのを覚えてます。

仕事が忙しくて夜勤が続く中、共働きの奥さんを助けるために、日中は子供さんの世話もしていたそうです。
とても子煩悩で、子供たちともよく遊んでくれるお父さんだったそうです。
数日前から、なんとなく胃の調子が悪いと言っていたけど、市販の胃薬でごまかしていたそうです。
当時は聞かなかったけど、きっとドリンク剤、飲んでたでしょうね。
それも常習的に。

看護師さんも、ドリンク剤飲んでた頃は今思えば、『眠れてなかった』そうです。
頭もすごく痛くなってきてたそうです。
忙しいから眠れないのではなくて、カフェイン中毒で寝つきが悪かったのかもしれません。
オンコールをしていると、夜中でも明け方でも、お構い無しに電話がなります。
その度に、素早く状況を把握して指示を出さないといけません。
眠れない、寝つきが悪いのは、そのせい。
と思っていたそうです。

疲れてたらね、もう少し元気になりたい。
元気になれない自分が、なんだか不甲斐ない。
あともう少し、頑張ろう。
そんな気持ちわかります。
頑張り屋さんほど、陥りやすい状況です。
ドリンク剤は、別に違法ドラッグでもないし、コンビニでも売ってるし、手軽に手に入るし。
だからいけないなんて、危ないなんてあんまり思わない。

でもね、
地味に怖いドリンク剤。
もう、
だめ、絶対!!

と声を大にして言いたい。

元気になれないのは、疲れているからです。
素直に早く休みましょう。
とっとと美味しいものを食べて寝ましょう。
頑張れないなら、そこがあなたの体力の限界です。
その体力で十分です。
今までだって、それで頑張って働いているのですから、それでよし、としましょうよ。

いいじゃないですか、それで。