とりあえず始めてみます老いじたく

ねんきん定期便をきっかけに老活してみることに

僕らはみんな生きている


写真の建物は本文に関係ありません。

在宅訪問診療をやっていると、あそこは行きたくないなぁ〜と言うところは、やっぱり、あります。
行きたくない理由は、様々です。
そしてわたしが一番行きたくないのは、やっぱり臭いのきつい家。

人間、生きていれば飲み物を飲み、ご飯を食べます。
そして、ご飯を食べれば生体活動の結果が、なにがしかの形で出てきます。
それらが速やかに処理されてくれたら良いのですけどね、中にはうっかりあるべきところではないところに、放置されてしまってたりして。
今度は自然界の、目に見えないけど活発に活動している様々な生命体による生命活動によって、さらに変化が起きて、その結果生じる生成物というのは、私たち人間にとってはかなりの不快を伴うものだったりするのです。


いっそのこと傾きかけたような古い木造家屋なら、あちこちに生じた隙間が期せずして換気してくれますので、まだまし、と言えなくもない。
これが、最近のコンクリート製の密閉度の高い建物となると。。。。
脈々と続く生命活動と現代建築の長年のコラボによる熟成された成果が、半端、無い。
窓を閉め切った狭い部屋に充満したその空気は、それだけで十分、毒ガス、と言ってもいいレベル。

言わないけど。

ひととおりの診察をしつつ、ふと目をあげると、かつては白かったであろう黄ばんだ壁紙のところどころに、茶色のシミが、それも見ようによっては、指の形のシミがある。
あたかも、何かをなすりつけたかのよう。
しかも、一つや二つじゃ無い。
よく見ると、様々な濃淡で重ねられている。
振り返れば、後ろの壁にも同じようなシミが、ちょうど患者さんが手を伸ばせばそこに着きそうな位置に。。。。
これ以上見てはいけない!と理性が警告すれど、勝手に動いてしまう視線。
よせばいいのに、見ては行けないところに目がいく。
もうここまで来たら、一種のホラーです。

そう言えば、玄関先に敷かれてあった色も褪せた古いラグ。
雨の日とはいえ不自然にじっとり湿気てたな。。。。

終わって、家を辞したあと。
立派なドアが閉まると、そこは別世界。
ごく普通の日常生活がいとまれている、真っ当な世界。

このギャップが、なんとも言えない。

車に戻っても、気のせいかさっきの家の空気がまとわりついているような気がする。
ふとした拍子に、臭いが戻ってくる。
何かの呪いっ!?
と、一瞬ビビるけど、何の事は無い。
診察着に臭いが染み付いていたのでした。
しばらく取れないのよね、これが。。。。

それも怖い気がしますけど。


確かに、歳をとれば身体も衰えてきます。
間に合わないことだって、ある。
認知が進めば、そこにあるモノがなんなのか、よく理解できない、ということも、ある。
そして、適切な処理ができないことだって、ある。

そこは重々わかっております。

わかってるけどね。
頭で理解するのと、身体が生き物として反応してしまうこととは、違います。
防護服着て入るわけには、いかないからなぁ。

猫や犬のも辛いけど、人間のが一番こたえる気がするのは、やはり同じ人であることに、かつてはきちんとしていたであろう人、というものに凄惨なものを感じるからでしょうか。

春が近づいて、暖かい日が増えて参りました。
微生物の活動=腐敗、も活発になってきます。
暖かくなって過ごしやすくなるのは嬉しい反面、、、、。
という日々を過ごしているのでした。


せめて画像だけでもいい香りのものを(汗)